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» 2018年01月26日 06時00分 公開

軟着陸できるか:日銀ETF購入の「出口」、市場が描く5つのシナリオ (1/4)

日銀によるETF(上場投資信託)買いの「出口戦略」について、黒田東彦日銀総裁は慎重な姿勢を示したが、市場では依然思惑がくすぶっている。

[ロイター]
photo 1月24日、日銀によるETF(上場投資信託)買いの「出口戦略」について、黒田東彦日銀総裁は慎重な姿勢を示したが、市場では依然思惑がくすぶっている。昨年6月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 24日 ロイター] - 日銀によるETF(上場投資信託)買いの「出口戦略」について、黒田東彦日銀総裁は23日の会見で慎重な姿勢を示したが、市場では依然思惑がくすぶっている。

景気拡大や物価上昇が順調に進めば、今年中にも長期金利目標の修正があり、その際にETF購入額も見直されるとの見方が根強いためだ。将来的な選択肢として購入量減額や市場への売却だけなく、個別企業や特定投資家への売却、別機関への棚上げなども取り沙汰されている。

1.テーパリング

「出口」の第1段階は、年間約6兆円の購入量を減らす「テーパリング」になるとみられている。日本株は26年ぶりの高値に上昇しているとはいえ、保有株をいきなり市場で売却すれば影響が大きくなる可能性があるためだ。

テーパリング開始のタイミングについて、市場の見方は分かれている。2018年中はないとみる見方も多いが、JPモルガン証券は、コアコアCPI(消費者物価、除く生鮮食品・エネルギー)が前年比1%まで上昇する今年9月と予想。後ずれリスクがあるとしながらも、現在ゼロ%の10年長期金利ターゲットを0.25%に引き上げ、ETFも現在の年6兆円から減額すると見込んでいる。

ETF購入は、現在、日銀が採用している「長短金利操作付き量的・質的金融緩和策」(YCC)の政策パッケージのうちの1つというのが、今の日銀の見解だ。日本株が26年ぶりの高値水準に上昇しているからといって、ETFだけが減額されることはないとの見方が市場では多い。

減額の規模はどの程度か。市場では半減となる3兆円規模との見方もあるが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「海外投機筋に格好の売り材料を提供することになりかねない」と指摘。日経平均が2000─3000円下落してもおかしくないとして非現実的だとみる。

藤戸氏は、いきなり半減させるのではなく、最大でも年間5000億円のペースで減らしていくべきだと話す。市場に予見可能性を与え、相場に過大なインパクトを与えることを防げるという。

具体的な減額幅を示さず、買い入れペースを落とす、いわゆる「ステルス・テーパリング」もありうる。日銀は、YCC政策導入後も、年間80兆円増額という長期国債購入額の「看板」は下ろしていないが、目標ではなく目安であるとし、実際は50─60兆円ペースにまで落ちている。

ニッセイ基礎研究所・シニアエコノミスト、上野剛志氏は「6兆円の買い入れ方針を掲げ続けながら『未達でも問題ない』というスタンスに変更する可能性がある」と指摘。そうであれば、日本株市場への影響は明確に減額するケースより抑えられるという。

ただ、国債の「量」から金利の「水準」に政策の軸を移したように、株式市場でもETF購入の「量」から、例えば、固定的な日経平均の「水準」を目指すような政策手法の転換はできない。

このため、市場では「ステルス・テーパリングの思惑が出れば、それだけで相場にネガティブな影響が広がる」(国内証券)と警戒する声も多い。

未達幅が大きくなり過ぎて、市場が動揺するなど対外的な説明が必要になる場合には「未消化額を翌年に繰り越すといった手段を付随的に講じ得る」(ゴールドマン・サックス証券の日本経済担当チーフ・エコノミスト、馬場直彦氏)との見方もある。

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