EV普及の鍵、充電規格戦争を制するのはどこか鍵は充電スピード(2/4 ページ)

» 2018年02月02日 06時00分 公開
[ロイター]
photo 1月24日、電気自動車(EV)を主流にするために不可欠な充電ステーション網の構築に携わる各メーカーは、コスト抑制のために充電プラグ形式などの規格の種類を限定する必要があると主張する。写真は中国の柳州市で2017年 11月、GMと上海汽車の合弁によるEV「宝駿 E100」EVモデル(2018年 ロイタ―/Norihiko Shirouzu)

<規格競争>

EVバッテリーの急速充電に関しては、CCSの他に3つの規格が存在する。テスラの「スーパーチャージャー」、日産自動車<7201.T>や三菱自動車<8058.T>などを含む日本企業が開発した「チャデモ」、そして世界最大のEV市場である中国の「GB/T」だ。

「チャデモとCCSは、いずれは現行のCCSに合わせる形で融合していくと思う。テスラについてはどうなるか分からない」。米シリコンバレーを本拠として世界最大級の充電自動車網を手掛けるチャージポイントのパスカル・ロマノ最高経営責任者(CEO)はそう語る。

CCSの充電拠点は、これまでのところ全世界で約7000カ所存在し、その半分以上が欧州だとCharINは説明する。欧州連合(EU)は急速充電に関する規格としてCCSを支持しているが、他規格のプラグ導入を禁止しているわけではない。

一方、チャデモの充電ポイントは1万6639カ所(大半が日本と欧州)に及び、テスラのスーパーチャージャーは8496カ所(半数以上が米国)に上る。中国電気自動車充電インフラ促進同盟によれば、中国にはGB/T規格の充電ステーションが12万7434カ所あるという。

ビデオテープ市場において、かつてVHSとベータマックスが覇権を争ったような過去の規格競争と同様に、それぞれの充電規格には一長一短がある。

例えば、テスラのシステムはテスラ顧客専用だが、CCSは直流・交流双方で充電できるダブルプラグを採用しており、ドライバーが再充電できるスポット数が増大している。

一方、チャデモではEV電池から電力グリッドに対して電力を売ることが可能だ。この「双方向充電」と呼ばれるプロセスは、需要変動期にエネルギー網を安定化させる上で有効であり、EV所有者が多少の現金収入を稼げるようになっている。

「もし私が日産の立場なら、自身が採用した規格が支配的な存在になるよう望むだろう」と語るのは、エネルギーやテクノロジー、電力インフラといった企業部門に助言するアレクサ・キャピタルの創業者ジェラルド・ライド氏。「採用した規格が世界標準になれば、競争優位が得ることができる」

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