EV普及の鍵、充電規格戦争を制するのはどこか鍵は充電スピード(3/4 ページ)

» 2018年02月02日 06時00分 公開
[ロイター]

<鍵は充電スピード>

家庭でEV充電のために使われるプラグのほとんどは交流(AC)電流を利用しており、充電には時間がかかる。

EV充電による走行可能距離を懸念している潜在的な顧客が多いことを考慮すれば、移動途中で迅速に充電できるようなネットワーク構築が鍵だとEV業界では考えられている。

急速充電ステーションは、より強力な直流(DC)電流を供給することにより、最大7倍も速くEVを充電できる。

最大400キロワットを供給する最速のDCステーションであれば、10分以内にEVの充電を完了できる。現在一部のAC充電ポイントでは10─12時間かかることを考えれば、大幅な改善となる。

ガソリンスタンドに立ち寄る程度の短い時間で、再充電が可能だと分かれば、顧客もより長距離のドライブに対して安心感を抱くだろう、と開発側は期待している。

独自動車メーカー各社とフォードがCCS方式の急速充電ステーション導入に向けて設立した合弁事業では、この点を念頭に置いて、シェルやOMV、ドイツのタンク&ラスト、そして小売のサークルKなど、欧州でガソリンスタンド・チェーンを展開する企業との協力を進めてきた。

既存の自動車メーカーにとって、EV競争で優位に立つことは、テスラによる攻勢に揺らぐ自動車産業における生き残りを意味する。

イーロン・マスクCEOが率いるテスラの2016年販売台数は7万6230台。これに対し米自動車産業の先駆者フォードの販売台数は665万台と大きく凌駕しているものの、テスラの時価総額は、いまやフォードを110億ドルも上回っている。

とはいえ、フォードと手を組んだ独自動車メーカー各社は、潤沢な資金によって長期的には自らが優位に立てると信じており、この競争において充電テクノロジーが重要な要素になると考えている。

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