ICOを用いて資金調達に成功しても、予定通りサービスの開発が実施される保証はなく、ICOへの投資は極めてリスクの高いものといえる。また、詐欺目的でトークンを発行する企業や組織も存在しており、こうした企業にだまされてしまう可能性もある。普通に考えて、一般の投資家が投資対象として選択すべきものではないだろう。
しかしながら、こうしたマイナス面があったとしても、ICOのマーケットはそれなりの規模に拡大すると筆者はみている。その理由は、ベンチャービジネスが直面している質的な変化である。
スマホ以前の時代であれば、IT系のベンチャー企業であっても、それなりのオフィスを構え、多くの社員を雇って製品やサービスの開発を行ってきた。必要な資金も億単位が標準であり、そうであればこそ、こうしたベンチャー企業に投資する機関投資家(VCなど)が存在していた。
だがスマホ時代を迎え、ちょっとしたアイデアとプログラミングの技術があれば、バーチャルな空間であっという間に新しいサービスを開発できるようになった。スタートアップに必要な資金は1000万円単位でよく、こうした「プチベンチャー」が世界中で無数に立ち上がっている。
規模の小さいベンチャービジネスに対して、VCをはじめとする機関投資家が組成した投資ファンドは規模が大きすぎる。ネット上でプロジェクトを宣伝し、賛同した個人投資家から少額の資金を調達するというスキームにICOのプラットフォームはうってつけである。今後も多くのトラブルが発生するだろうが、ICO市場は拡大していく可能性が高い。
世界で無数に立ち上がっている「プチベンチャー」にとってICOは相性が良い
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