彼らの言い分によると、「テクノロジーは私たちの心と社会を乗っ取っている」という。さらに、同組織はこうも主張している。
「テクノロジーがいかに私たちの心をハイジャックするのか。その背景となる文化やビジネス的誘因、デザイン技術、組織的な構造について、私たちは精通している」
テックの真実キャンペーンでは、広告を出したり、学校で啓蒙(けいもう)活動を行うという。子どもへの影響はさまざまな研究がなされており、おそらく良くも悪くも刺激を子どもたちに与える。つまり、学びや楽しみを与えることもあれば、悪影響があるのも間違いないのだろう。ただいずれにしても、できる限り早く世界中にその現実を科学的に知らせてもらいたいものである。問題が広く認められないうちは、国などもなかなか対策には動かないからだ。
ただ言うまでもないことだが、こうしたテクノロジー依存は何も子どもだけに限った話ではない。私たちの周りにも依存症はいるし、大人の場合は、直接的に命に関わる場合もある。例えば、スマホばかり見ていると、クルマを運転していたら交通事故につながるし、歩きスマホも事故の原因になる。他人に迷惑をかけたり、事故になるかもしれない可能性が想像すらできず、運転しているわずかな時間や、歩いている短い時間もスマホを見ているのは、もはや依存症に近いと言っていいだろう。
筆者は海外に行くことが多いが、海外でも歩きながらスマホの画面に夢中になっている人、暇さえあればスマホを取り出して操作している人はかなり多い。取材の際でも、インタビューをスマホで録音し、写真を撮り、データを書き込んだりして、ずっとスマホまたはタブレット端末の画面を見つめている記者もいる。10年前にはなかった光景で、ふと冷静にそんな人たちを見ていると、世界中で多くがスマホなどに依存しているのが分かる。
また影響は依存だけではない。人道的テクノロジーセンターは、現代のテクノロジーによる影響をこのように指摘している。「Instagramは写真的によく見せることを美化し、私たち自身の価値を下げている」「YouTubeは私たちの睡眠時間を削っているのに次々と動画を自動的に再生する」
彼らに言わせれば、依存を促しているのは、「動画の自動再生や、画面のずっと続いていくスクロール、そして利用者の意欲をかき立てるゲーム手法の応用」だという。
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