KDDIの田中孝司社長は「ビッグデータが重要なビジネス界において、『楽天モバイル』が持つ約150万回線の顧客基盤だけで満足せず、さらに上を目指すのは時代の流れに即している。キャリア参入という心意気はよく分かる」と語った。
一方、楽天への支援については「6000億円で設備投資が賄えるほど通信事業は甘くない。キャリアのうち、どこかの企業が協力する必要があるだろう」と話すにとどまった。
またKDDIは決算会見で、田中社長が今年4月1日付で退任し、高橋誠副社長が後を継ぐことも発表。その目的は「新規事業を得意とする高橋氏の手によって、金融・保険サービスなどを提供する『ライフデザイン事業』を伸ばすこと」(田中社長)。
2月8日には、大和証券グループと資本・業務提携して合弁会社「KDDIアセットマネジメント」を設立し、確定拠出年金管理事業に参入すると発表。新体制下での発展に向けた動きを加速させている。
SBGの孫正義社長は、楽天を「明治維新における海援隊や陸援隊、薩摩藩や長州藩のように、情報革命をけん引している立派な革命家」と評した。
「楽天が新しい切り口で参入することは市場をそれなりに刺激する。同じインターネット業界から出てきたものとして、切磋琢磨しながら業界を革新してしていきたい」(孫社長)
またSBGは7日、携帯事業会社ソフトバンクの株式上場に向けた準備を始めると発表。SBGが「戦略的持ち株会社」となり、業界トップクラスの各事業会社を自律的に成長させる「群戦略」の一環で、両社の役割を明確化する狙いがあるという。
決算会見では、ソフトバンクの宮内謙社長が退くタイミングを問う声も挙がったが、孫社長は「上場におけるリーダーは宮内だ。後継者育成に向けた体制はこれから強化する」と明言した。
宮内社長は楽天についてはコメントしなかったが、1月末に資本・業務提携を結んだLINEモバイルに触れ、「現在は、ユーザーのニーズに応じたブランドのすみ分けが順調にできている。ソフトバンク、Y!mobileに次ぐ“第3のポジショニング”をLINEモバイルと一緒に築いていきたい」と語った。
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