こんな話もある。17年に行われた米アイオワ大学などによる研究によると、Facebookの自分のアカウントへのアクセス権を業者に渡す(共有する)代わりに、投稿ごとに多くの「いいね」を瞬時に押してもらうサービスがネット上に50以上も存在していた。これらサービスはスパムの拡散など犯罪の温床にもなっていたが、Facebook側は直ちにその問題に対処したという。
エジプトでの話を後日、日本で出版社幹部に話をすると、「フォロワーなどをサクッと増やしたいその誘惑にはかられないこともない」と笑っていた。その数が重要な意味を持つならば、広告費として購入して……と思わなくもないという。
もっとも、その数に、人がどれほど価値を見ているのかは分からない。ただ米国のセレブたちや、中国の新華社通信などには、重要な意味をもっているということは確かだ。
ソーシャルメディアが社会インフラのひとつになった今、こうしたズルい行為も中東など世界規模で繰り広げられている。社会的・政治的な影響力にもつながるこうした問題は、日本でももっと真剣に議論されてもいいのかもしれない。
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト・ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。最近はテレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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