スタバを変えたFacebookの「Workplace」 日本市場での可能性は?ビジネスSNSは成長するか?(2/2 ページ)

» 2018年02月19日 11時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]
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LIXIL、KADOKAWA、琉球銀行……導入進む日本

――Workplaceは17年6月に日本に上陸しました。

豊田: 全社員6万人で使っていただいているLIXILや、本社とグループ会社4000人に導入したKADOKAWAなど、さまざまな企業に使っていただいています。銀行や病院などの“お堅い”と思われるような企業の導入例も増えています。LIXILや琉球銀行では社内イベントのライブ動画配信が好評ですね。オンラインのプラットフォームであれば、営業も工場作業員もみんなが見られます。

 日本の企業はヒエラルキーを大事にしていることが多いので、下から上への意見がトップにくみあげられるまでに時間がかかることがあります。そこでコメントやリアクションがトップにすぐに伝わることで、「この企業のカルチャーはボトムアップを認めているんだ」と感じ、人材が流出しない効果が期待できます。

 情報共有に活用されている例もありますね。湘南鎌倉総合病院ではもともと会議のために非常に多くの紙資料を用意するカルチャーがあったのですが、Workplaceで議事録を共有することで、資料準備の時間が徐々に削減できているといいます。生協(CO・OP)では、食品の取り扱いや魚の卸し方などを動画で共有して、店舗スタッフがマニュアルとして活用しているそうです。

コミュニケーションや情報共有が進む

――日本におけるWorkplaceの利用方法は、グローバルと比べて何か違いや特徴があるのでしょうか?

豊田: Workplaceの導入には3つの大きなステージがあり、ステージ1で「社長のメッセージ発信の場」、ステージ2で「社員どうしのグループの場」、ステージ3で「チャットボットを使ってメッセージや業務の一部を自動化する」と進んでいきます。日本企業の場合、ボットを活用するまで……適応のスピードが速いですね。在庫管理やシフト管理のほかにも、バスの運行情報をボットで受け取れるように設定しているといった使い方も聞きました。交通情報と連携できるのはWorkplaceの強みの1つですし、日本ならではの使い方のような気がします。

Facebookの全てのユーザーが潜在ユーザー。日本市場の可能性は?

――ビジネスSNSというと、海外では「LinkedIn」などの名前も挙がりますね。

コドーニュ: WorkplaceとLinkedInは全く異なるサービスですね。LinkedInは採用やマーケティングのために使われることが多いですが、Workplaceは社員同士や会社間のコミュニケーションを促進することを目指しています。これまでつながりがなかった社員がつながっていき、気持ちやエンゲージメントが変わっていくのが魅力です。

――なるほど。ビジネス向けのコミュニケーションツールと取ると、競争が激しい分野のように思えます。

コドーニュ: WorkPlaceと同様のサービスや、コミュニケーションツールを提供している企業はあるでしょうが、同じような志で提供している企業はないと思っています。「人をつなぐ」というミッションが他社とは違いますし、そして何より、WorkplaceはFacebookと非常に近いプラットフォームであるという強みがあります。Facebookの21億人のユーザーは、すぐにWorkplaceを使えるのです。

――Facebookを使っているビジネスパーソン全てが、Workplaceの潜在ユーザーということですね。現在のユーザー数は、予想と比べてどうでしょうか。

コドーニュ: ものすごい勢いで広がっていると感じています。特に日本では、企業の皆さんが「才能のある人材を採用し続けるためには、働き方改革や社内コミュニケーションについて考えなくてはならない」と認識をし始めていて、そのソリューションとしてWorkplaceを認識していただいているのではないでしょうか。

豊田: 日本のお客さまと話していると、「違う世代の社員にどうやって投資ができるか」「そうすれば多様性を生むことができるか」「男女の雇用の均等はどうすれば実現できるか」「リモートワークや在宅勤務はどのようにするといいのか」とさまざまな悩みを持っています。日本市場の中で、そういった課題に興味がもたれるようになっていますよね。

コドーニュ: 日本市場では勢いが生まれているので、Workplace専任の担当者を日本に置くことにしましたし、ローカライゼーションも進めています。伸び率でいえば、米国と同じくらい伸びる可能性はあると思っています。



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