なぜ伝説のプロデューサーは天才たちをディスりまくったのか世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2018年03月01日 07時49分 公開
[山田敏弘ITmedia]

偉大な大物ミュージシャンたちをコケに

 特筆すべきは、これまで一緒に仕事をしたことがある偉大な大物ミュージシャンたちをコケにしていることだ。

 筆頭はザ・ビートルズ。ジョーンズは「ビートルズは世界でも最悪なミュージシャンだった。演奏できないやつらだった。ポール(・マッカートニー)はオレが知る中で最も下手なベーシストだったし、リンゴ(・スター)は……話題にもしたくないね」と答えている。天下のビートルズをつかまえて、「下手」呼ばわして説得力があるのは、もはやジョーンズくらいしかいないだろうが、辛辣(しんらつ)すぎる感は否めない。

 さらにジョーンズは、伝説的なエンターテイナー、マイケル・ジャクソンにも毒を吐く。ジョーンズは、マイケルに直接、整形疑惑を問いただしたことがあると語る。お前整形してるだろ――そんなジョーンズの意地悪な問いに、マイケルは「持病があるからしょうがいないんだ」と正当化していたという。ジョーンズは取材の中でマイケルの言い訳は「嘘っぱちだ」と一刀両断にしている。

 マイケル・ジャクソンについてはさらに切り込んでいる。「(マイケルは)かなり欲深い男だった。欲が深いんだよ」と語り、「これを公にするのはあれだが、マイケルはいろいろと盗んだ。人から多くの曲を盗んだんだ」と、マイケルが盗作したと暴露しているのである。

 かなりオリジナリティが高いイメージのマイケルが実は人から曲をパクっていた――衝撃の事実である。具体的には、米歌手ドナ・サマーの「ステート・オブ・インディペンデンス」という曲をパクって、マイケルは代表作『ビリー・ジーン』のリフを作ったと、当時どちらの曲でもプロデューサーだったジョーンズが明らかにしている。実際に目の前で見ていたジョーンズが言うのだから間違いないのだろう。

 また発言は俳優にも及ぶ。映画『ゴッドファーザー』のゴッドファーザー役で知られた米大物俳優マーロン・ブランドについては、「(ブランドは)なんでもセックスした。とにかく、なんでもかんでもだ! 郵便ポストとでもセックスしただろう」と語った。さらにブランドが「(米黒人作家の)ジェイムズ・ボールドウィン、(米黒人コメディアンの)リチャード・プライヤー、(米黒人歌手の)マーヴィン・ゲイ」と同性同士で関係を持ったという。とんでもない暴露話に、欧米のゴシップメディアは色めき立った。

 さらには歴史的で政治的な話も語っている。ジョーンズは、現在米国のファースト・ドーターで、大統領補佐官のイヴァンカ・トランプと「付き合っていた」とも発言している。12年ほど前、イヴァンカ(当時25歳)から食事に誘われたのがきっかけだったという。「オレがこれまでの人生で見た中で最も美しい脚をしている」と述べ、「ただ父親だけが残念だが」と付け加えている。

ジョーンズは偉大なミュージシャンをコケに(出典:クインシー・ジョーンズのFacebook)

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