リテール大革命

小売りの未来のカタチは「アマゾン・ゴー」だけではない繁盛店から読み解くマーケティングトレンド(4/4 ページ)

» 2018年03月09日 07時15分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]
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 また、40坪ほどの本店の内装や商品陳列、パッケージやショッピングバッグ、またワークショップスペースなど、展開されている1つ1つが「おしゃれ」なのです。これはオーガニックを広めていく上でとても大切です。とかく健康や地球環境に良いという視点だけになると、どうしても泥臭くなっていくものです。

 しかし、同店は一見すると「アパレルのセレクトショップ?」とも思えるような内・外装です。販売しているのは、価格もできるだけ抑えたオーガニックの商品群。「できるだけ買いやすい価格で提供したい」(同社)ことから価格も値ごろ感を意識しています。このあたりの感覚もイマドキの店と言える点です。

ベビーカーが2台通れる導線幅と開放感のある店内 ベビーカーが2台通れる導線幅と開放感のある店内
同社の商品ガイドラインを店内掲示。「F.L.O.S.S」とは、Fresh、Local、Organic、Seasonal、Sustainableの頭文字をとったもの 同社の商品ガイドラインを店内掲示。「F.L.O.S.S」とは、Fresh、Local、Organic、Seasonal、Sustainableの頭文字をとったもの

 18年5月には湘南地区に本店並みの規模の店を新規出店予定です。今後は店舗数を少しずつ増やしてバイイングパワーをつけて、オリジナルのオーガニック食材も増やして、製造から小売りまで一貫してプロデュースする体制を整えようとしています。

 未来の小売りのカタチは、有人か無人かという売り方の問題ではなく、何を売るのかというコンテンツこそが重要だと考えています。日常の価値がますます高まっていく世の中。日常をより充実したものにして、顧客のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高める努力ができる企業こそ未来の小売業になるでしょう。

 これからは、「どう売るか」ではなく、本当の意味で「何を売るか」がポイントなのです。

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

株式会社 船井総合研究所 上席コンサルタント

1969年、静岡市生まれ。ファッションを専門分野とした流通小売業界のコンサルティングのスペシャリスト。百貨店の営業戦略および全社MD戦略立案、GMSの売場再構築、大手メーカーの新規ブランド開発、SPA型小売業の事業戦略策定、中小専門店の現場支援コンサルティングなどを通じ、各業界で注目を集めるグレートカンパニーを数多く輩出させている。街歩きと店歩きによる消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。

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