過剰な「お客様のため」を見直せば生産性は上がるサービス領域の絞り込みが鍵(2/5 ページ)

» 2018年03月12日 16時38分 公開
[昆清徳ITmedia]

店長の負担を減らす

 1点目は店舗運営の要となる店長の負担を減らすことだ。

 正社員は店長のみで残りの従業員はバイトやパートというケースも多い。ときにはバイトの穴埋めとして店長が働かないといけないこともある。そうなると店長がやるべき仕事に集中できない。

 「店長がなんでも自分でやってしまうのが原因です。自分しかできない仕事がたくさんあると思い込んでいます。仕事のたな卸しをすることが必要でしょう」

 例えば、店長が「開店準備と閉店準備を自分がしないといけない」と思い込むと、店舗にいる時間が長くなってしまう。具体的には「開店前に行う従業員の身だしなみチェック」と「閉店後に行うレジの集金」がネックだったとしよう。そこで、店長が身だしなみのチェックリストを作り、開店準備を行う従業員がお互いに確認しあえるようにする。そうすれば店長は開店準備時に店舗にいる必要はなくなり、労働時間の短縮につながる。

 庄司氏は別の解決策として、短時間で働く従業員を募集することを挙げる。具体的には勤務時間を8時間で求人広告をだすのではなく、2時間や4時間でもOKとする方法だ。従業員の数が増えるので管理コストはかかるが、家庭の事情などで働くことを諦めていた高スキル人材を雇える可能性が高まるという。実際、庄司氏の会社では高いスキルを持つが子育てのために1日4時間だけしか働けない女性を雇用して成果をあげているという。飲食店ならば調理の高いスキルを持つ人材に2時間だけ仕込み作業を任せることが考えられる。

photo 調理現場の業務はもっと細分化できる(提供:スタディスト)

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