「浴衣で接客」から転換 塚田農場の新業態店佐藤可士和氏がプロデュース(2/3 ページ)

» 2018年03月15日 17時19分 公開
[昆清徳ITmedia]

外食産業のアルマーニを目指す

 米山社長は会見でブランドという言葉を何度も強調した。

 もともと塚田農場は20〜40代をメインターゲットとしていた。しかし、「若いアルバイト店員が接客しやすいのは20〜30代の客層。過剰なサービスの結果、客層が狭くなってしまった」(米山社長)。「浴衣で接客」というブランドイメージが強くなってしまい、肝心の地鶏の良さが伝わらなくなってしまった。

 メニューやホームページで地鶏生産者の想いを伝えているのだが、説明が過剰になってしまい「何が売りなのか?」が伝わらなくなった。店舗をプロデュースした佐藤氏がシンプルなコンセプトを打ち出したのも、地鶏を際立たせるためだ。

photo 新業態店の内観

 こういった状況を打破するために、米山社長は「ちょい贅沢」というコンセプトを打ち出した。客単価が3500円前後のマス層を狙うのではなく、やや高価格帯のゾーンを狙う戦略だ。焼鳥という業態を選んだのもこだわりの食材をストレートに味わってもらうためだ。職人が焼鳥を調理するというイメージも強調している。

 米山社長は、炉端焼きやしゃぶしゃぶの店舗を出店するにあたり、ファッションブランドの「アルマーニ」を意識したという。「エンポリオ アルマーニ」や「ジョルジオ アルマーニ」といったブランドがあるように、業態ごとに店の個性を強調する戦略だ。不振が続く既存店を新業態に転換することで、長期的にはマス向けの「塚田農場」ではなく高級な「つかだ」というブランドを広めたい考えだ。

 外食産業のアルマーニになれるかどうかは、米山社長と佐藤氏の手腕にかかっている。

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