森友問題、責任所在を曖昧にする日本の「ソンタク」「芸術形式にまで進化した」(2/2 ページ)

» 2018年03月19日 19時00分 公開
[ロイター]
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「ソンタク」はなぜ問題か

森友学園への国有地売却に関与し、決済文書を改ざんした当局者がもし「ソンタク」したのであれば、彼らの上司の不正を証明することは、少なくとも法的には難しい可能性がある。

「安倍首相は強い指導者だ。それ故、官僚たちは直接指示されなくても、不誠実であったり、時には法に触れたりと、さまざまなことを行った」と、ある連立与党議員は匿名で語った。

「だが、安倍首相が直接指示しなかったのであれば、『ソンタク』の問題で終わるだろう。法的責任と政治責任、そして倫理的な責任は異なる」

一方、麻生財務相は、直接指示は下していないものの、財務省の監督責任を問われ、辞任圧力にさらされている。

安倍首相が9月に行われる自由民主党の総裁選挙で勝利し3期目を迎えられるか、それとも早期退陣を迫られるかどうかは、首相の支持率低下があるか、またその低下の度合いによるだろう。

「ソンタク」は日本だけか

安倍政権が、幹部人事の決定権を手中に収め、霞が関の官僚機構をより強力に掌握しているため、官僚が「ソンタク」する動機となったのかもしれない。ただ、どこであっても職員は上司の意向を汲もうとするものだ。

「上司の顔色をうかがうことは、どこにでもあることだ。だが日本では、それがより高尚な芸術形式にまで進化した」と前出のキングストン教授は語った。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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