なぜ沖縄の離島でデジタル医療改革が進んでいるのか?人口8000人の町を舞台に(4/4 ページ)

» 2018年03月27日 07時00分 公開
[伏見学ITmedia]
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ブルーブックスの志茂英之社長 ブルーブックスの志茂英之社長

 LHRシステムが病院や薬局のシステムと連携することは、ほかにも大きな価値を創出する。例えば、インフルエンザ感染などの予防だ。

 久米島でその日にどんな薬が処方されたのか、リアルタイムで統計データが取れるようになる。そのため、もしインフルエンザに関する薬をもらった患者とその住所を地図上にプロットし、時系列で見ていけば、インフルエンザの広がり方が可視化できるし、予測もできるようになるかもしれない。発症の起点を突き止めることにも役立つ可能性がある。その分析データを基に効率的な学級閉鎖や、外出するリスクを注意喚起すれば、インフルエンザの感染対策になるのではないかと考える。

 地域住民の健康・医療データの網羅率が高いということで、こうした環境を作り出すことも可能なのだ。これも久米島デジタルヘルスプロジェクトならではの特徴と言えるだろう。

 先述したように、久米島でのこのようなデジタル医療改革は他の地域からも注目されており、今後の横展開に大きな期待が集まる。デジタル技術で人々の健康を、そして彼らが暮らす地域を変えていくことが、このプロジェクトの真の役割と言えるのではないだろうか。

【訂正:2018年3月28日14時47分】初出で一部事実とは異なる記述がありました。お詫びして訂正致します。

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