10年後の「快適な住宅」とは何か LIXILの展望自分で“判断”する家へ(3/3 ページ)

» 2018年03月28日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]
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「暑いなあ」で涼しくなる家に

――IoT住宅の市場の動きはどうなっていくでしょうか。

photo LIXILの二瓶亮取締役専務役員

 IoTを活用してスマートホーム化していく、という大きなトレンドはありますが、具体的に市場ができている、というところまではいっていません。商品として、ボリュームゾーンに展開できるようになれば、一気に増えると思います。

 現在、普及が進んでいる宅配ボックスについても、商品自体は以前からありましたが、再配達の負担や宅配事業者の人手不足などが問題になって、急激に必要性が高まりました。社会の変化や問題が顕在化すると、需要が増えていく可能性はあります。

――LIXILが目指す、「快適な暮らしができる住宅」とはどのような住宅ですか。

 家の中の状況だけでなく、外の環境も含めてトータルで自律的に判断し、コントロールするような家です。室温が高いとき、エアコンを付ければいいのか、外で気持ち良い風が吹いているから窓を開けてあげればいいのか。また、風があるからといっても、花粉が飛んでいたら窓を開けてはいけません。家全体が自律的に判断して、最適な環境をつくる「ハウスロボティクス」を目指しています。

 まだ完成していませんが、快適性の指標も作っています。居住者が快適に感じる条件をデータとして蓄積し、最適な環境を人工知能(AI)が学習します。その指標が機能すれば、居住者は意識して操作しなくてもよくなります。「暑いなあ」と言えば涼しくなる、それが究極の形です。

 また、今までリビングという固定の空間だったところが、オフィスにもなる、医療機関とつながることもできる、というように、時と場合によって違うスペースになるということも実現していくでしょう。ライフスタイルの変化に合わせて、住宅全体を柔軟に対応する空間にしていくのです。

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