悲劇の始まりは、05年にさかのぼる。米小売業最大手のWalmart(ウォルマート)やTarget(ターゲット)など大手量販店との間で競争が激化し、トイザらスの業績は落ち込んでいった。
そこで、事業の一部を売却することを考えていたところ、投資会社のBain Capital(ベインキャピタル)とKohlberg Kravis Roberts(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)、不動産投資信託会社のVornado Realty Trust(ボルネード・リアルティ・トラスト)が、トイザらスを66億ドルで買収することになった。
その後、トイザらスは、映画『ホーム・アローン2』などいくつもの映画に登場するほど有名なニューヨークの老舗玩具小売店のF.A.O. Schwarz(ファオ・シュワルツ)や玩具チェーンのKB Toysを買収するなど積極的に動いた。
他ブランドの買収によって、取り扱う商品の幅を広げることに成功し、一時は世界最大の「オモチャのショールーム」と言われ、リーマンショック後の不景気でもビジネスは好調のように見えた。
同社は、再度株式上場することも考えていたが、13年にその計画を断念した。ちなみに、トイザらスは、16年にファオ・シュワルツを売却している。
結局のところ、資産を担保にした買収(レバレッジド・バイアウト)の無理がたたり、53億ドルもの負債だけが残った。
しかも50億ドル以上もの債務返済に年間約4億ドルの利子を支払わなくてはならず、トイザらスは負債にあえぐ状態に陥った。そこから業績を回復させることはできなかった。
それほどの負債になると、ビジネスに投資するための経済的なゆとりなど全くない状態になった。そして、本来やるべき店舗の改革が遅れ、客足は遠のき、さらに業績の悪化を招くという悪循環に陥ってしまったのだ。
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