女子レスリングのパワハラ問題、一体誰が得をしたのか赤坂8丁目発 スポーツ246(4/5 ページ)

» 2018年04月08日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

今回の問題、誰が得をしたのか

 「至学館大学は付属高校も含め“栄ブランド”で全国から女子レスリングの強豪選手となる金の卵たちをかき集めてきた。だから、そこの学長が栄さんを守ろうとするのは当然の流れかもしれない。だが、あの会見はいくらなんでも行き過ぎだった。乱暴な言葉を連発したことで彼女の奥底にあった“勝手な報道ばかりして、ウチの金ずる(=栄監督)を潰すな”という姿勢が浮き彫りになった。この際だから栄さんは女子レスリング界から一線を引き、あの学長も会見で口にした言葉の責任を取らなければいけない」

 同様に週刊誌報道で明らかになった当初「パワハラはない」と否定していた協会幹部らにも辞任を求める声が高まっている。同じく別の“反至学館大学派”の女子レスリング関係者は「栄さんに権力を一極集中させ、それを放置していたからこういうパワハラが起こった。栄さんには別のスキャンダルがあるともささやかれ、某週刊誌が近々明らかにするとの情報がある。そうなってからでは遅い。管理責任で幹部も身を引き、すみやかに襟を正す必要性がある」と協会幹部の総辞職を訴えた。

 しかし女子レスリング界で中立の立場を取る人物たちからは、こうしたシュプレヒコールに冷ややかな反応を示す。

 「栄さんがやらかしてしまったことは間違いなく大問題だが、あの人がいなくなったら今後の日本女子レスリング界はどうなっていくのか。次世代に指導のノウハウを生かしてもらわなければいけないはずなのに、これでフェードアウトしたら日本女子レスリング界の快進撃は止まってしまうかもしれない。次の東京五輪が心配ですよ。他の指導者だって、これから『パワハラ』にナーバスになるから必要以上に神経を尖らせ、ますます指導がやりにくくなる。

 一体、誰が得をしたのか。そう考えると今回の問題発覚は栄さんや至学館大学の勢力が邪魔だと思っている人たちが後先のことをまるで考えず、最終的にどんどんたきつけて事を大きくしていった印象がどうしても拭えない。一番かわいそうなのは選手たちですよ。皆さん、スキャンダルのことばかりでロクに報道を見ずにワーワーと言っている人ばかりだと思うが、現に先月行われた国別対抗戦ワールドカップで日本の代表選手たちは問題発覚で体調を崩した栄さんが不在の中、4連覇を果たした後『私たちがここまで来られたのは監督(栄氏)のおかげ』と口々に言いながら涙をこらえていた」

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