技術も人も未熟な自動運転、UberとTeslaの事故で露呈人間の問題も(2/3 ページ)

» 2018年04月09日 16時16分 公開
[ロイター]

<未熟なテクノロジー>

ウーバーとテスラの衝突事故について、機械工学を専門とする米デューク大学のミッシー・カミングス教授は「彼らが使用しているテクノロジーは未熟である」ことを露呈したと指摘する。

photo 4月3日、米配車サービス大手ウーバーと電気自動車大手テスラの自動運転車による死亡事故を受け、米自動車専門家は、自動運転車に潜在的危険を検知する能力の基準を設けるべきだと指摘する。写真は、ウーバーの事故車両内から撮影の映像から。事故が起きたアリゾナ州テンピの警察が3月提供(2018年 ロイター)

テスラは、自社のテクノロジーについて、運転を向上させて命を救っていることが統計的に証明されているとしている。同社は3日、ロイターに対し、「オートパイロット」機能を使う際は、ドライバーには「車両のコントロールを維持する責任」があり、「警報音や視覚的な警告」に応じる態勢でいる必要があると答えた。

一方、ウーバーの広報担当者は「あらゆる面において、安全はわが社の最優先課題だ」と語った。

自動車の安全を訴える米消費者団体「Advocates for Highway and Auto Safety」は、上院に現在とどまっている自動運転車に関する法案について、安全性を向上させる上での好機と捉えている。同法案の当初の狙いは全く異なり、公道で人のコントロールなしに自動運転車を試験走行させることを迅速に許可することにあった。

同団体は自動運転車の基準を設けることを求め、法案の修正を提案している。例えば、自動運転車に搭載されているさまざまなセンサーが実際にどのように機能しているかをテストする「ビジョンテスト」を義務付けることなどだ。

法案には、現在対象となっているものより低いレベルの技術とされるテスラの「オートパイロット」のような半自動運転システムも含まれるべきだと同団体は考えている。

他の団体も自動運転車に関する提案を行っている。その中には、自動運転車だけでなく、半自動運転システムを搭載した車両が、性能目標を満たすことや、メーカーなどによる透明性やデータの向上、規制監督の厳格化、そして、人のドライバーへのモニタリングや関与の向上などが含まれている。

一方、人のドライバーに重点を置く団体もある。昨年11月、「コンシューマー・リポート」誌は、自動車メーカーに対し、自社の自動運転機能について「消費者が完全に理解することを助けるため」責任ある表示説明を求めた。

同誌で自動車試験を担当する責任者ジェイク・フィッシャー氏は、ドライバーについて、「オートメーションに注意を払うのが苦手。この技術はあらゆるタイプの緊急事態に対応することはできない」と指摘。

「よちよち歩きの子どもが運転している車に乗っている乗客のようだ」と同氏は語った。

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