トランプタワーの「不人気」、火災で死亡の美術商が露呈空港並みセキュリティにうんざり(2/3 ページ)

» 2018年04月17日 18時51分 公開
[ロイター]
photo 4月12日、米ニューヨーク中心部の高層ビル、トランプタワーで7日発生した火災によって亡くなったトッド・ブラスナーさん(67)は、火元となった同タワーの高級マンションに20年来住んでいた。写真は同タワー前を警備する警官。10日撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

ニューヨーク・イーストサイドの高級住宅地に古くから立つ高級ビルの多くは、より高層で高価な新築ビルが急増したことを受けて、不動産価値が下落している。

それでも1983年に完成したトランプタワー物件の下げ幅は市場平均より大きいと、不動産ブローカーや市場アナリストは指摘する。

「トランプ氏の立候補と大統領就任は、明らかに(トランプタワーの)不動産価値にマイナスに影響している」と、不動産仲介業ブラウン・ハリス・スティーブンスのウェンディ・マイトランド氏は言う。

同社は昨年、トランプタワーでファッション業界の顧客が所有していた、3ベッドルームの部屋を750万ドルで売りに出したが、買い手がつかなかった。

とはいえ、トランプ大統領の自宅と同じビルに住宅を欲しがる外国のバイヤーは多いと、不動産業者は語る。同タワーの不動産を管理するトランプ・オーガニゼーションも、トランプタワーが依然として世界で最も有名な不動産の1つだと主張する。

「(トランプタワーには)一流の住人がおり、世界の象徴的な存在であり続けている」と、同社広報担当のアマンダ・ミラー氏はメールで回答した。

それでも、ニューヨークの不動産サイトCityRealty.comによると、同レベルのミッドタウン・イースト・サイドの物件の下落率が8%にとどまる中、トランプタワーの1平方フィートあたりの価格は30%下落している。

同じくニューヨーク中心部にあり、トランプタワーに似ているとされる1975年築のオリンピックタワーは、不動産価格が2015年以降で21%下落。同期間に、新築ビルも含めた付近の不動産価格が29%上昇したのとは対照的だ。

トランプタワーでは、「現在22部屋が売りに出ており、そのこと自体が状況を物語っている」と、前出のマイトランド氏は話す。2015年の売り出し物件数は、その半数程度だったという。

Copyright © Thomson Reuters