巨人の上原は、なぜ叩かれ始めているのか赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2018年04月19日 14時20分 公開
[臼北信行ITmedia]

上原の“メッキ”が剥がれてしまった

 巨人側も、まさかこんなに早く上原の“メッキ”が剥がれてしまうとは夢にも思わなかったはずだ。「キャンプでの調整ができなかったのだから、多少は打たれるのも仕方がない」「日本のマウンドに順応する時間もなく開幕早々から酷使させられたのだから、疲労がたまるのも当然だろう」などと上原に対する同情論や擁護論も確かに一部からは出ている。

 しかしながら、右腕の推定年俸は2億円プラス出来高とリリーバーとしては日本球界の中でかなりの厚遇だ。上原自身も自信があったからこそ、この好条件を受け入れて契約を締結したはず。そうであるにもかかわらず、これほど早々と「パンク」してしまったとなれば、バッシングを浴びせられても致し方ない。

 43歳のレジェンド右腕が直面しているイバラの道は、しばらく続くことになってしまうかもしれない。上原の今後について首脳陣は登録を抹消せずに一軍帯同させながら本来の投球術を取り戻させる方針を固めているが、うまくいくかは不透明。普通ならば、2戦連続で試合をぶち壊した時点で即座に二軍降格を言い渡されても不思議はないだろう。だが上原については球団幹部が三顧の礼で出迎えた経緯がある以上、現場の立場からすれば開幕から1カ月も経たないうちにファーム再調整を言い渡す流れはなかなかつくりにくい。

 そうなるとチームは昨オフ、若返りを理由に功労者の村田修一内野手(現ルートインBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブス)を事実上の“戦力外”としたことと、ますますつじつまが合わなくなってしまう。ただでさえ球団内の一部や球団OBからは43歳右腕と契約を結んだことにいまだ難色を示す意見もあるだけに、そのチーム最年長の投手が結果も残せていないのに特別扱いされて一軍に残れるなんてどういうことなのか――と不満の声が方々から一気に爆発してしまう危険性も十分にある。

 登録枠の問題も出てくるだろう。ファームではプロ2年目の右腕、高田萌生投手や同じく2年目の左腕、大江竜聖投手の19歳コンビら生きのいい若手が腕を磨きながら一軍昇格のチャンスをうかがっている。「付け焼刃のベテラン起用でその場をしのぐことを考えるよりも、もっと先々を見据えて若手を積極的に使うべきではないのか」との声は決して少なくない。

 その矢面に真っ先に立たされることになるのは今、不調にあえぐ上原であることは言うまでもない。このままスランプ地獄から抜け出せないか、もしくはこれから「良かったり、悪かったり」のダッチロール投球を繰り返しながらも一軍に居座れば枠を1つ奪うことにつながり、若手の成長機会を阻む存在として救世主どころか逆に疎まれる存在になってしまうかもしれない。

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