なぜオジサンは「孤独」の犠牲者になりやすいのか土曜インタビュー劇場(ぼっち公演)(3/6 ページ)

» 2018年04月21日 08時27分 公開
[土肥義則ITmedia]

日本は孤独という「国民病」を患っている

岡本: ホルトランスタッド教授は30万人以上を対象に調査したところ「社会的なつながりを持つ人は、持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する」といった結果を発表しました。孤独のリスクは、(1)1日タバコ15本吸うことに匹敵、(2)アルコール依存症であることに匹敵、(3)運動をしないことよりも高い、(4)肥満の2倍高い、と結論づけているんですよね。また、友だちが多い人は、ほとんどいない人よりも長生きすることが分かってきました。

土肥: ええーと、今年の年賀状の枚数は……SNSでつながっている人の数は……同窓会でしゃべった人の数は……。あ、でもワタシの場合、家族と一緒に暮らしているので大丈夫なはず(たぶん)。

岡本: 結婚しているから、家族と一緒に暮らしているから、自分は孤独ではない……と必ずしも言い切れません。物理的に孤立していることと、孤独を感じることは違いますよね。独り暮らしをしていても、友人や近所との付き合いに積極的で、孤独感を覚えない人もいる。「結婚していない、独り暮らし=孤独」という構図ではなくて、意味のあるつながりや関係性を築いているかどうかがポイントになるのではないでしょうか。

土肥: ええーと、親友と呼べるのは……。

岡本: OECD(経済協力開発機構)の調査によると、友人、同僚、その他コミュニティの人と「ほとんど付き合わない」と答えた日本人は15.3%で、加盟国中でトップだったんですよ。こうしたデータから何が見えてきたのか。日本は孤独という「国民病」を患っているのにもかかわらず、それに気付いていません。

土肥: そのような話を聞くと、「調査データは海外のものばかりでしょ、日本人は違う」といった声が聞こえてきそうですね。なぜ「自分たちは特別なんだ」と思うのか。日本では孤独が「美化」されているからではないでしょうか。俳優の高倉健さんのような感じで、男は黙って背中で語る人がカッコイイといった観念が根強いような。高校の先生に「ドイくんのようなおしゃべりな男性はモテませんからね」と言われましたし(まだ覚えている)。

孤独のリスクは「1日にたばこ15本」を吸うことに匹敵するといった指摘も

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