福田次官のセクハラ騒動で、まだ語られていない本質的な問題スピン経済の歩き方(3/6 ページ)

» 2018年04月24日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

最上位は「女性記者」

 もちろん、報道されるのは氷山の一角にすぎない。大げさな話ではなく、日本の女性記者の歴史は、公務員のセクハラ史と言ってもいいくらいだ。

 なぜこうなってしまうのかというと、一部の公務員にとって、「女性記者」を口説き落とすということは、競争率の高いナンバーワンキャバ嬢をモノにして、周囲の男たちから羨望の眼差しで見られるのと同じくらい誇らしいことだからだ。

 2001年9月14日の『週刊朝日』には、外務省の課長補佐以上の官僚が、1年間で関係した女子の数を自慢し合うという秘密会合があるとして、女性をランク付けしているという記事が出た。ホステスさん、アルバイト、女性職員の順番で高得点で最上位は「女性記者」だと、同省の若手官僚が言っている。

 「それも新聞よりテレビ。最上位はキャスターですよ。なにしろ外務省はキャリア、ノンキャリのカースト制ですからね。何でもランク付けが好きなんですよ」(同誌)

 「つい最近も、ボクの知り合いが、ある民放の女性記者をゲットしたという情報が流れ、『あれは○点だ』とか『いや、○点だろう』とささやき合ったばかり」(同誌)

 「ゲットってポケモンかよ」と怒りに震える女性たちも多いだろう。あるいは、「こんな非人道的な会話を、外務省のエリートがするわけがない、週刊誌の捏造だ」と信じない方もいるかもしれない。だが、筆者も数年前、外務省ではないが、ある省庁の高級官僚たちと酒席を共にしたとき、これとほぼ変わらぬ「女性記者」の格付けトークを聞いたことがある。

 世の中にはドラマとかに出てくる真面目な公務員もたくさんいるが、それと同じくらい「女性記者」を「ホステスさん」のように扱い、あわよくば深い仲にと目論む「エロ公務員」も大勢いるのだ。

 だから、福田氏のやったこともそれほど騒ぐような話ではない、などと言いたいわけではない。個々の人間性だけでは、ここまで大量に、かつ安定的に、「女性記者へのセクハラおじさん」を世に送り出すことは困難である、ということを申し上げたいのだ。

 そうなると、「病巣」は官僚組織の中にあると考えるべきだ。福田氏のように対外的には「仕事のできる国家公務員」がアフター5になると、「女性記者へのセクハラおじさん」へと豹変(ひょうへん)させてしまう、構造的欠陥が官僚組織のどこかに潜んでいるとしか思えないのだ。

 このシステムエラーによって、一部の役人のおじさんたちは、若い女性記者たちを「自分が好きにできる存在」だと勘違いをしてしまう。無理もない。まっすぐ家に帰りたくないとき、電話一本すれば、家でパジャマ姿でくつろいでいてもタクシーを飛ばしてかけつてくれる。同僚ならば、すぐに大問題になるようなエロトークをしても、ちょっとしたボディタッチをしても役所のコンプラへと駆け込まず、「秘密」を守ってくれる。もちろん、女性記者からすれば「取材」という仕事のためなのだが、おじさんは「特別な関係」だと勘違いしてしまう。キャバ嬢の「営業トーク」を真に受けて、のぼせる構図とよく似ている。

福田事務次官に関する報道に係る調査について(一部、出典:財務省)

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