残業削減のためにまた会議? トップの意味不明な指示を生む“罠”河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/5 ページ)

» 2018年04月27日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]

「見たいものだけを見る」心の動き

 実際には間違った対処法による副作用で、新たな問題が沸々と浮上していたとしても、問題を問題として認識するのはムリ。人は「これだ!」といったん確信を持ってしまうと、それを支持する情報だけを探して受け入れ、確信に反する情報を探すことも、受け入れることもできなくなります。

 この心の動きは、「確証バイアス」と呼ばれています。人は見えているものを見るのではなく、見たいものを見る。なんとも不思議な心のメカニズムを持っているのです。

 ですから、どんなに部下たちに不平不満がたまろうとも、「コミュニケーション=会議」と確信している社長さんは、「残業を減らすために、わが社ではコミュニケーションを良くすることに務めています!」と胸を張る。

 「情報交換・議論の場=会議」と確信している部長さんは、「やっぱり自由な意見をぶつけ合うと、社員はやる気になりますよね〜!」とご満悦。

 そして、1列に並んで“社員さま”をお出迎えした経営陣は、「あいさつは大事ですよ。ホントに大事!」と、あいさつがなぜ、どう大事なのかも考えることなく、自己満足に浸っているのです。

 確証バイアスの存在を証明した有名な実験の1つが、1979年に行われた「死刑制度の論文検証」の実験です。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.