つまり、困った“ジジイ”に翻弄(ほんろう)されている“アナタ”の選択肢は2つ。
1つは、能動的に「無能化」することです。ダラダラ会議に付き合い、うなずきマンと化し、ヨイショにゴマスリに精を出し、意味不明な上司のコバンザメになる。つまり、魂を売ったふりをして、出世する可能性を高め、職場の意味不明の撲滅を目指す方法です。
ただし、本当に無能化するリスクも高いので、常に自分の言動を俯瞰する姿勢を持ち続けねばなりません。結構な精神力と体力が必要です。
もう1つは、たとえスローガンでも「ないよりマシ」と考えて自分で変化を起こす。自分の半径3メートル以内だけを考え、トップの意味不明を追い風にするのです。
例えば、残業削減にコミュニケーションの円滑化が役立つのは、決してウソではありません。まずは自分たちのタスクを書き出し、それを会議の議題にする。1つ1つのタスクの効率化を徹底して議論してみてください。これだけでも無駄な作業は軽減するはずです。ただし、会議は立ってやる。会議の目的は「タスクの効率化」であることを忘れないでください。
加えて、「元気な会社にはあいさつが飛び交っている」ことも事実です。私が訪問した多くの企業でもそうでした。ですから、自分からあいさつを徹底してください。その際、お掃除のオバさんや守衛さんへの挨拶も忘れずに。相手の目を見て「おはよう!」と大きく声をかける。
あいさつに「心を込める」必要はありません。単なるスキルだと割り切ってやってください。そうすれば、無視されてもむかつくこともありません。あいさつの効用は、3カ月経てば必ず実感できます。この方法で社員同士の心の距離が近づき、チーム力が高まった職場をいくつも見てきました。たかがあいさつ、されどあいさつ。あいさつを侮ってはいけません。
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)
【注:会社や上司に不満のない人には、全く役に立たない本です】
600万の黒字より、5億の赤字の方が評価されるんです――。瀕死の部署を再生させた後、左遷されたモリさん(仮)は、苦笑しながらこう語った。
上層部の意図に沿わない成功は全く評価されず、上層部の方針に従って出した大赤字は「ナイスチャレンジ」と見なされる。会社という組織では、そんな「残念」なことが毎日起きている。
どこの組織にでも起こる問題について、幾多もの理論や学術論文、600人以上のインタビューから、改善の具体策を導き出す。「あいさつ運動」や「17時退社を当たり前にした仕組み」によって、業績まで伸びた事例も紹介する。
「この会社、意味不明」と嘆くビジネスパーソンに向けて。希望のヒントが見つかる1冊!
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