160円でJRを“大回り乗車” 新緑と彩り駅弁、唐揚げそばを味わう12時間杉山淳一の「週刊鉄道経済」GW特別編(4/6 ページ)

» 2018年04月27日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]
photo 両毛線で東へ向かう

 次の乗車は両毛線直通の伊勢崎行き。上野東京ラインや湘南新宿ラインには乗れない。なぜなら、大回り乗車は一筆書きルートが条件だから。経由地が重複すると、回り道として認められない。八高線の列車は高崎の手前の倉賀野から高崎線を通ったため、戻る方向には行けない。

 両毛線の電車は211系。またもやロングシートだ。宅地が広がって通勤エリアになったとはいえ、ロングシートばかりだな。ロングシートは嫌いではない。向かい側の複数の窓から景色が見えて、むしろクロスシートより視野を広く感じることもある。ただし、唯一の欠点は飲食しづらいこと。「列車内で食べるな」という風潮もあって寂しいけれども、列車の旅の楽しさは、車窓を眺めて駅弁、これだよ。クロスシートが落ち着く。ロングシートだと行儀が悪い気がする。

 この電車は伊勢崎止まり。次の電車は30分後。待合室には数人いて、1人で食べる雰囲気ではない。それにしても伊勢崎駅、高架になったんだな。前回の来訪は15年前。趣のある地上駅で、JRも東武も同じ改札口という、おおらかな構造だった。車窓も駅舎も変わる。再発見の旅になった。

 小山行きの電車も211系のロングシート。またもや駅弁はお預け。久しぶりに乗る路線の風景を、新鮮な感覚で眺めている。次は足利駅と告げる車内放送は、「あしかがフラワーパークにご用の方は、次のあしかがフラワーパーク駅をご利用ください」と続いた。そうだ。4月1日に新規開業した駅があった。ニュースでは知っていたけれど、ここだったな。

photo 開業したばかりの「あしかがフラワーパーク」駅。大勢乗ってきた。外国語も多数

 そのあしかがフラワーパークでは大量のお客さんがプラットホームで待っていた。ガラガラだった車内にドドッと集団が流れ込む。お年寄りも多く、思わず席を立ち、譲った。開業から1カ月、しかも平日。この駅の設置は大成功と言えそうだ。乗降扉の窓からはフラワーパークの花の彩りが見えた。観光バスもたくさんとまっている。人気があるんだなあ。今日は降りられないから、今度行ってみよう。それにしても、大型連休は大混雑になりそうな予感。

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