ソニーが今期減益計画、半導体が利益圧迫 前期は20年ぶり最高益前期は20年ぶり過去最高更新

» 2018年04月27日 18時06分 公開
[ロイター]

[東京 27日 ロイター] - ソニー<6758.T>は27日、2019年3月期(米国会計基準)の営業利益は前年比8.8%減の6700億円を見込んでいると発表した。前期は20年ぶりに過去最高を更新したが、半導体部門の減価償却費・研究開発費の増加や前年に計上したカメラモジュール製造子会社の譲渡益がはげ落ちたことなどが利益を圧迫する。為替も足を引っ張る。

photo 4月27日、ソニーは、2019年3月期(米国会計基準)の営業利益は前年比8.8%減の6700億円を見込んでいると発表した。写真は横浜で2016年2月撮影(2018年 ロイター/Thomas Peter)

ただ、会見した十時裕樹・最高財務責任者(CFO)は「単純比較すると減益だが、2017年度は多くの特殊要因があり、調整後ベースでは(営業利益は)約7100億円と試算される」と説明。「今期は為替変動のマイナスの影響が約380億円生じるとみており、この影響を除くとほぼ前年並みの営業利益を見込んでいる」と強調した。

会社予想はトムソン・ロイターが調べたアナリスト23人の予測平均値7650億円を大きく下回る。

半導体部門の営業利益は前年比39.0%減の1000億円と大きく落ち込む見通し。

売上高は前年比2.9%減の8兆3000億円を計画。減益予想の半導体部門は、モバイル機器向けの販売数量の増加で、売上高は前年比2.3%増の8700億円を見込んでいる。半導体部門の7割以上を稼ぎ出すイメージセンサーは同6.2%増の6900億円に拡大する見通し。

十時CFOはイメージセンサー需要について「スマートフォン市場の成熟により、短期的には伸び率が低下する傾向にあるが、中長期ではセンシングや監視、FA(工場の自動化)、車載向けなど新しい用途の展開も見込まれることから、さらなる成長が期待できる」と先行きに自信を示した。

同席した武田和彦執行役員はスマートフォンの回復時期について「調整はかなり進んできており、7─9月期には戻ると考えている」と語った。

今期のスマートフォン販売は1000万台を計画。前期は1350万台だった。販売台数の減少に伴い、今期のモバイル・コミュニケーション分野の売上高は前年比11.5%減の6400億円、営業損益は150億円の赤字となる見通し。

十時CFOは「年間1000万台程度の販売台数でも利益が出せる収益構造に転換したい」と述べ、改善策を5月22日のIRデーで説明することを明らかにした。

厳しい状況でも撤退せず、事業を続けることに関しては「5G(第5世代移動通信システム)技術はおそらく将来、スマートフォンのみならず、さまざまな機器に入ってくる。その技術を内部でつないでいくことは将来、われわれのブランドハードウエアにとって大きな果実をもたらす可能性がある」と説明した。

据え置き型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」販売は1600万台を計画。前期は1900万台だった。市場では次世代機の導入時期について注目が集まっているが、十時CFOは「非常に戦略性が高い話なのでコメントを控える」と言及を避けた。

テレビ販売は前期比90万台減の1150万台を予想している。

計画の前提となる為替レートは1ドル105円、1ユーロ125円。

2018年3月期は売上高が前年比12.4%増の8兆5439億円、営業利益が同2.5倍の7348億円だった。営業利益は1998年3月期に計上した5257億円を上回り、20年ぶりに過去最高を更新した。

十時CFOは「経営方針説明会で約束した数字ができたことは大変良かった」と評価したが、同時に「5000億円以上の連結営業利益を続けたことは今までない」とも指摘。「(今期から始まる)この中期(計画)は利益を安定的に持続させることに主眼を置いて経営に当たりたい」と語った。

(志田義寧)

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