ネコのドラえもんが、ネズミのミッキーに絶対勝てない理由ディズニーとドラえもんの差(6/6 ページ)

» 2018年05月01日 07時06分 公開
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M&Aで巨大化したネズミと、合従連衡できなかった日本アニメ

 最後にディズニーと日本アニメにケタ違いの差がついてしまった極め付きの理由は、「合従連衡」の有無だ。ディズニーはピクサーなりマーベルなりルーカスなり、さまざまなコンテンツを次々と買収して巨大化していくのに対し、日本のアニメコンテンツ業界は合従連衡が起きなかった。

 これは“身売り”を良しとしない文化がアニメ業界にも影響しているのかもしれないが、同じ事務所で管轄する他のキャラクターや、他のクリエイターの人気キャラクターで合従連衡すれば、一大テーマパークの1つや2つ、成功裏につくれたはずだ。

 それこそ、ドラえもん、パーマン、キテレツ大百科、怪物くん、アラレちゃん、ドラゴンボールなど、テーマパークにしがいのあるキャラクターはたくさんいたはずなのである。

 仮に藤子スタジオのコンテンツをディズニーが買収したら、ピクサーのトイストーリーやモンスターズインクがディズニーランドで生き生きと活躍するように、きっとドラえもんのタイムマシンやどこでもドアも、立派なテーマパークになったことであろう。

 今回発表されたジブリのテーマパーク化だが、間違ってもテーマパーク運営の経験がない地方自治体とアニメスタジオが自前でゆっくり準備するのではなく、それこそUSJなりディズニーなり、テーマパーク成功例の先輩起業家ら人員を引き抜くなどして、早期にプロフェッショナルチームの陣容を固めることをお勧めしたい。何なら、長年にわたって世界市場でのディズニービジネスを研究してきた私が、ジブリパークの成功に向けてアドバイザーに就任すると、勝手に宣言したいくらいである。

 USJのある関西、ディズニーランドのある関東に比べ、交通の便でも商圏のサイズでも、その他観光資源の面でも大きく出遅れている中部地方が、観光資源をつくるために大きな投資にでるというこの挑戦を、私は心の底から応援している。

 『最強のディズニーレッスン――世界中のグローバルエリートがディズニーで学んだ50箇条の魔法の仕事術』では、テーマパークの運営からライセンス契約におけるディズニーのこだわり、グローバル戦略の実態などのあらゆる分野で、一般のビジネスパーソンがパフォーマンスを高めるために学ぶべき教訓を50のポイントにまとめて書き綴っている。ぜひ、先行成功事例のディズニーから得られる教訓を、フル活用していただきたいものである。

 今年90歳を迎える超大富豪・ミッキーの成功の秘けつを、本書から読み取っていただければ幸いである。

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