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賛否両論の丸紅「社内副業」義務化 人事部長に真意を聞いてみた狙いは「働き方改革」ではない(3/4 ページ)

» 2018年05月07日 14時06分 公開
[勝木健太ITmedia]

イノベーションは「管理」からは生まれない

――新制度として、具体的にどのような業務に取り組むことを想定しているのか。

鹿島: 12月に開催する「ビジネスプランコンテスト」への参加なども想定している。先述したアイディアボックスに投稿されたアイディアを中心に、新しい事業計画を競い合うものだ。優れた企画については資金や人材を提供して実際に事業化を検討する。

 また、オープンイノベーションの推進を図り、社内だけではなく、社外の人材も巻き込んで新しいビジネスの検討を進めていく。ただし、業務時間の一部を活用する以上、丸紅グループの中長期的な企業価値の向上につながるような活動を実施してほしいと考えている。そのため、外国語の学習をはじめとする自己研さんについては、 基本的には、今回の制度の適用範囲外としている。

――時間管理やリスク管理の面は従業員に任せているのか。

鹿島: 従業員に委ねる方針にしている。勤務時間の15%を悪用し、業務を「サボる」従業員が出てくるのではないかとの指摘もある。しかし、従業員が「サボる」か否かについては、個人の意識の問題であり、本制度の本質的な部分とは関係がない。イノベーションの創出を図る上では、従業員を信頼し、必要以上に「管理」しないことが重要だと考えている。

phot 時間管理は社員一人一人に任せているという

――事前の申請は必要なのか。

鹿島: 申請は不要だ。業務に支障がなければ、上長の承認も必要ない。「やります」と報告のみしてくれれば良い。勤務時間の15%をどのように充てるかも、1日単位で取得してもいいし、1週間単位でも認められる。すべて本人の判断に任せている。ガチガチに従業員を「管理」することはしていない。そうすることで、可能な限り心理的なハードルを下げたかった。

上杉: イノベーションは既存の要素の「掛け合わせ」から生まれることが多く、その創出のためには、従来の枠組みに囚われず、自由な発想を尊重する企業文化を醸成する姿勢が必要不可欠だ。イノベーションは上からの「管理」からは生まれないと考えている。

 その点で言えば、当社においては、服装についても、4月からTPOに合わせてカジュアルでもOKとする「セルフビズ」という制度を始めた。服装についても自分で考え、判断させている。これも従業員の自主性を重視し、自由な発想を尊重する企業文化を醸成することに関連した取り組みだ。

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