CXシリーズに救われたマツダの決算池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/4 ページ)

» 2018年05月14日 06時30分 公開
[池田直渡ITmedia]

原因は米国マーケット

18年3月期の営業利益変動要因 18年3月期の営業利益変動要因

 営業利益の変動要因を見てみよう。左右にある柱が17年と18年の営業利益だ。自動車メーカーにとって利益に最も影響が大きいのは為替である。ところが、むしろ為替は400億円利益を押し上げている。コスト改善について「原材料価格の値上げを含む」とコメントが付いているのは「諸物価が高騰したのにちゃんとコスト低減して105億円プラスにしました」と言いたいわけだ。開発費は91億円のマイナスだが、マツダは現在、第2世代SKYACTIV技術の開発中であり、むしろその投資のピークの割には少ないと考えて良い。

 そうなるとは大体見当がついてきたが、問題があるのはこの表の中で「台数・構成」と書かれている部分。要するに「単価いくらのクルマが何台売れたか」と「その販促にかかったコスト」だ。これが240億円のマイナスになっている。書かれているコメントは「米国での出荷台数減 および販売費用増など」。

 しかし、それもおかしい。本年度マツダのクルマは全世界で売れているはずではなかったのか? 現に米国も1%増と書かれている。

 現在、北米でセダンの販売台数が落ち込んでいる。フォードが北米でのセダン販売から撤退するとアナウンスしたように、この落ち込みは大きく、マツダの場合、結果的にはCXシリーズで穴埋めができたが、それは自然に置換されたわけではなく、恐らく販売報奨金など販売的にかなり無理をして台数をプラスに持っていっていると考えるのが妥当だろう。そうでなければ240億円もマイナスにならない。

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