JR北海道の“大改造”構想 「新・新千歳空港駅」「ベースボールパーク新駅」杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/6 ページ)

» 2018年05月18日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]
photo 現在の特急系統図
photo 新千歳空港駅改良、北海道新幹線札幌延伸、ベースボールパーク新駅を織り込んだ特急系統予想(妄想?)図。ベースボールパーク駅は千歳線本線上で待避駅構造にしてもいい

 ただし、問題点はやはり予算だ。北海道建設新聞によると、4月下旬の財務省の財政制度等審議会でJR北海道幹部から提案されたという。つまり、JR北海道が国の支援を引き出すための施策の1つである。国土交通省も理解を示しているけれども、国交省鉄道局は特別会計を持たなかったため、予算がない。(参考記事

 そこで国交省と自民党JR北海道対策プロジェクトチームは「自動車安全特別会計」のうちの「空港整備勘定」を模索している。ちょっと説明がややこしいれども、かつては空港整備特別会計として、空港使用料や政府財源を空港整備に使うための財源だった。行政改革によって特別会計は統合されたものの、空港整備勘定という形で予算枠が残されている。「千歳空港の利用を促進するプランだから、空港の費用で整備しよう」という考えだ。ちなみに、空港予算による鉄道施設整備は関空連絡橋、関西空港駅などの前例がある。

 懸念があるとすれば、航空局が予算を認めてくれるだろうか。そもそも新千歳空港にも改良すべき問題がある。新千歳空港は長さ3000メートルの滑走路が2本並んでいる。しかし、滑走路同士が近いため、航空機の同時発着ができない。片方の滑走路に飛行機が着陸する間に、もう片方が滑走路内で離陸待機、というような運用だ。これでも滑走路1本よりはマシだけれども、来道旅客を増やすためには航空機発着回数を増やしたい。

 航空機発着回数を増やすためには滑走路を離したい。離れた場所に滑走路を作るか、航空自衛隊千歳基地の滑走路を使わせてもらうか。国防に関わるため後者は考えづらい。新千歳空港は20年までに民間に運営委託されることになっている。それまでに、新千歳空港の整備方針で動きがあると思われる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.