アタリの店はどこ? サラリーマンが愛する「立ち食いそば」事情土曜インタビュー劇場(かき揚げ公演)(3/5 ページ)

» 2018年05月19日 09時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

個人的にオススメの店

土肥: 芳賀さんは1年365日、そばを食べているんですよね。個人的に、オススメの店はどこでしょうか?

芳賀: 新橋にある「おくとね」(港区新橋2丁目20ー15 新橋駅前ビル1号館 地下1階)ですね。ここの看板メニューは「まいたけ天そば」(450円)。本格的な手打ちそば店で「まいたけ天」はよく見かけますが、立ち食い店では珍しい。あったとしても、器からはみ出るほどの大きなまいたけを使っている店は少ないですね。

 まいたけ天がだしを吸うと、つゆの旨味とまいたけの香りが合わさって、サクサクの天ぷらとは違った濃厚な味わいを楽しむことができる。ただ、私がオススメするのは「釜玉そば」(340円)。

おくとねの「まいたけ天」。まいたけが器からはみ出ている(出典:リベラルタイム出版社)

土肥: まいたけが苦手という人には、釜玉そばのほうがいいかも。どのような味がするのでしょうか?

芳賀: 卵とつゆがほどよく絡むように、つゆの量が調整されているんです。麺を食べ終わるころになると、卵やつゆがなくなっている。他店で釜玉そばを食べても、なかなかこのようにはなりません。麺を食べ終わっても、たくさんのつゆが残っていたり、麺を食べ終わる前に、つゆがなくなっていたり。なぜ、この店の釜玉そばは絶妙のバランスなのか。店主に聞いたところ「長年、研究してきて、それぞれの割合が分かってきました」と言っていました。

 なぜ麺を食べ終わるころに、卵もつゆもなくなるのか。自宅でもつくってみたのですが、全くダメ(苦笑)。釜玉そばは、ゆでたての麺でなければいけないので、いかに冷めないうちに卵とつゆをからめることができるのか、がポイントになる。作り方は分かっているのですが、何度やってもうまくいかない。火が強すぎて、卵が白くなってしまう。弱火でつくると、麺と卵がうまくからまない。

土肥: 奥が深い。

おくとねの「釜玉そば」。家で再現するのは難しい(出典:リベラルタイム出版社)

芳賀: 立ち食いそばは奥が深くて、このほかにも個性的な店はたくさんあるんです。例えば、「駅ナカすたんど そば助 東武曳舟駅店」(墨田区東向島2ー26ー6 曳舟駅ホーム)。そばつゆは醤油ベースのところが多いのですが、そば助のつゆは塩だし。醤油を1滴も使わずに、カツオ風味とそばの味を高めているんですよね。

 「いっぱい喰い亭」(中央区八重洲2-10-10)の人気メニューは「鶏生レモンそば」(600円)。「そばにレモンは合わないでしょ」と思われたかもしれませんが、鶏肉とレモンの酸味とそばの組み合わせは、びっくりするほどマッチしているんですよね。ちなみに、店長は寿司職人だったこともあって、週に1回ほど寿司を出しています。

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