「セックスパット」の記事でも、問題はジャーナリストばかりではないとの指摘が出てくる。「外国人駐在者の腐った文化は数多くの国にまたがっており、『セックスパット的な動き』と呼ばれる良からぬ性的行為は、観光で来ている人たちに限った話ではない。もっとひどいダメージをもたらすのは、多くの場合、ジャーナリズムや外交、国際的なビジネスをする力のある立場の男たちなのだ」
そして、チュウ記者は、北京のレストランで、欧米企業の広報担当幹部にドレスの中に手を入れられ、股を触られた経験があると吐露している。
もちろん、ジャーナリストだろうがビジネスパーソンだろうが、性的なハラスメントをする人ばかりではない。ただ「セックスパット」の記事に対するリアクションを見ていても、「こんなのは一部の人たちだ」「これはメディアをおとしめる中国政府のプロパガンダだ」という声がある一方で、「北京では(駐在者による)多くのセクハラのケースを見た」とのコメントもある。
ただ海外で取材することが多い筆者の経験からも、現実にセクハラしてしまう「セックスパット・ジャーナリスト」は少なくないと言える。
特にアジアでは、同じような話を聞く。そもそも欧米メディアの支局などでは、本部から送られてくる社員と、現地採用の職員とでは、立場に大きな違いがある。給料や手当はもちろんのこと、例えば飲み会の参加者の中にもそうした違いは出てくる。すると、そこに見えない上下関係ができてしまうのである。そして欧米人の中には、アジア人女性をいまだに下に見ている人もおり、“雑”に扱うケースもあった。だが、現地で採用されている人たちはそうした行為をなかなか告発できない。
筆者もシンガポールに駐在していた間に、欧米から来ていた著名なカメラマンに、現場終わりの食事の後、しつこく口説かれてセクハラされた現地採用の女性の話を聞いたことがあった。
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