4月末から5月初めにかけて杭州で開催された、国家級のアニメ系イベント「中国国際動漫節」の来場者は延べ150万人に上った。。会場を訪れたところ、上海で夏に開催される中国を代表するゲーム系イベント「Chinajoy」に負けず劣らずの“人海”だ。中国の連休にかかっていたのと、杭州では上海と比べて娯楽が少ないこともあり、小さな子どもを連れた年配の方も多かった。
展示コンテンツは子ども向けもあるが、ほとんどは青年向け。ちなみに子ども向けコンテンツは、羊と狼のドタバタ劇「喜羊羊与灰太狼」や、熊と猟師のドタバタ劇「熊出没」が定番。もはや「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」を知らない子どもすらいる。
会場ではコスプレをしている人も多数見かけたが、コスプレイヤーの約半数が「武侠」、つまり中国中世ファンタジーもので、3割が日本の制服姿、残り2割がゴスロリ系といったところだった。
例えばルフィや初音ミクなど特定のキャラクターのコスプレをする人は少数で、コスプレーヤーのほとんどは何かになりきるというわけではなかった。これは数年前にみた「Chinajoy」での光景とだいぶ違っている。念のため近年のイベントの会場写真をネットで確認してみたところ、特定のキャラのコスプレで来場する人はやはり以前より少なく見える。
かつては「ワンピース」や「キングオブファイターズ」のキャラのコスプレが多かったが、さすがに人気になってから時間が経っているのと、現在はトレンドが次々に移り変わる青年・大人向けアニメが主流になっているためだろう。
会場でとりわけ人気だったブースが、中国で角川のライトノベルなどを出す「天聞角川」のブースと、ビリビリのブースだった。天聞角川の物販ブースに長蛇の列ができ、会場からの実況動画を配信していたビリビリブース前は多くの人で盛り上がっていた。天聞角川の人気や、他の物販ブースでの日本人気はファンの間では依然として高く感じた。
会場には女性客が多く、美男子イラストの看板と写真を撮る女性や、美男子イラスト入りの紙のかばんを下げて歩く女性を多く見かけた。日本のサブカルファンは男性が目立つが、もともと中国のファンは女性の割合が高く、「美男子同士の友情を想像する」という美男子が活躍するコンテンツは少なくない。このイベントでも女性のサブカル人気を感じることができた。
中国のアニメというと、武侠世界をはじめ多種多様な設定の作品がある。ただ、学園生活が舞台になる作品でも中国では女性ファンを意識しないといけない。主に男性向けの日本の作品とは競合しないだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング