その対象が次期理事長だろうが総理大臣だろうがアイドル事務所の社長だろうが、「誰かのため」という大義名分に突き動かされて、不祥事を招く傾向は、欧米よりも特に日本で強い。『モンスターズ・ユニバーシティ』では、主人公のサリーとマイクも同じ状況に陥ってしまった。
名門大学の「怖がらせ学部」に所属する2人が、「怖がらせ大会」に出場してともに優勝を目指す。優勝しなければ、サリーもマイクも退学させられるという追い込まれた状況に陥っていた。マイクは「いつか必ず、怖がらせ屋になるんだ!」という幼いころからの夢を叶えるために誰よりも熱心にトレーニングを重ねる。
しかし、カワイイ外見のマイクには「怖がらせ」の才能がまったくない。その様子をそばで見ていて、いたたまれなくなったサリーは、大事な仲間であるマイクのために、「怖がらせ度」が水増し評価されるよう「怖がらせ測定マシーン」に不正を施すのである。
どこかの会社の役員や社員が、大事な会社やお世話になった先輩のためを思って、帳簿上の利益を水増しするのとなんとなく似ているではないか。
ここで私たち一人一人が、このストーリーからまず学ぶべきはこの方程式である。
自分が追い詰められた状況+「誰かのため」という大義名分=不正への誘惑
正しく帳簿をつけてしまうと業績不振の責任を問われる。それどころか、自分を部長にしてくれた先輩役員にも多大な迷惑をかけてしまう。先輩に辛酸をなめさせるくらいなら、自分が鉛筆なめなめしなければ、という具合の「よくある不正」である。
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