加熱式たばこで競争激化 デバイス価格引き下げも「プルーム・テック」全国販売(2/2 ページ)

» 2018年06月01日 06時00分 公開
[ロイター]
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<市場拡大見通しは不変>

いち早く投入された「アイコス」は、専門店に行列ができ、整理券が配られるなど人気となり、市場が立ち上がってから3年余りでたばこ市場を大きく変えた。

しかし、足元では「供給不足が解消し、各社の商品が出そろったことで、1社が先行し、供給不足で店頭に商品を並べば売れる状況ではなくなった」(業界関係者)。フィリップ・モリスの1―3月期決算は、「アイコス」の日本での販売鈍化を主な要因として、事前の市場予想を下回った。

JTはプルーム・テックの営業部隊が企業や飲食店へのアプローチを強化しているほか、フィリップモリスはトラック業界の展示会でアピールするなど、各社とも、紙巻たばこ時代には行わなかったマーケティングを活発化させている。市場が成熟したわけではなく、まだ、拡大途上にあるとの見方は各社とも一致しており、中長期の市場拡大見通しも変更していない。

JTは、2018年にたばこ総市場に占める加熱式たばこのシェアが23%(17年は12%)になるとみていたが、この見方は現在も変えていない。英調査会社ユーロモニターによると、2017年の加熱式たばこ市場は約5000億円に達したとみられ、2020年には約9300億円に拡大するとみている。

最後発となったJTも、供給体制が整ったとして、6月4日から「プルーム・テック」の全国販売を開始、いよいよ大手3社が全国でぶつかる。佐々木治道専務執行役員・国内たばこ事業プレジデントはロイターに対し「ついに準備は整った、われわれは反転攻勢に自信を持っている」とコメントしている。

さらにJTは、今年末から来年初をめどに、「プルーム・テックの進化版」と「高温加熱タイプ」の2種の新製品を市場に投入する予定を明らかにしている。他社も、現在販売している製品が最終形態ではなく、さらに進化していくとの見方を示しており、新製品の開発に取り組んでいる。今年10月から5年かけて行われるたばこ増税、それに伴う価格戦略も波乱要因となる可能性を含みながら、新たなステージでの競争は激化していきそうだ。

(清水律子 浦中大我)

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