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「経営のカリスマ」カルビー松本会長に聞く、RIZAPにコミットする理由「プロ経営者」インタビュー【特別編】(2/3 ページ)

» 2018年06月06日 07時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

初対面は1月、2月に口頭で合意

――RIZAP入りを決める舞台裏では、どのような交渉があったのですか。

松本氏: 今年1月24日の夜、瀬戸社長から「一度会って話を聞きたい」と誘いがあった。私の講演や雑誌のインタビューなどを見聞きし、興味を持ったようだ。新宿のホテル「ヒルトン東京」で会い、食事をしながらさまざまな話をした。

 2月14日も朝から会い、RIZAPの事業について聞いた。当初、私はRIZAPについてあまり詳しくなく、ボディーメーク事業のイメージが強かった。だが、話を聞く中で多岐にわたる事業を手掛けていることを知った。その際に「4月以降、お暇があったら顧問などに就任してほしい。月に2時間程度でいいからアドバイスをもらいたい」と打診をもらった。その際、口頭では実は受諾していた。

photo RIZAPグループの瀬戸健社長(=左、「湘南ベルマーレ」の買収会見で4月撮影)

 その後、3月27日にカルビーから去ると発表した際、瀬戸社長ではない別の担当者から「顧問ではなく、もう少し深い仕事に関わってほしい」との連絡があった。この申し出を踏まえ、30日の昼に「ホテルオークラ東京」で会合を設けた。

 その時に瀬戸社長から「経営を手伝ってくれませんか」と正式なオファーを受けた。ただ当時、具体的なポジションとして代表取締役は挙がったが、会長や社長などは出なかったと記憶している。

 そこで先ほど述べた通り、瀬戸社長の人柄にほれ込んで参加を決めた。私は肩書で仕事をしているわけではないため「RIZAPに加われるなら立場は何でもいい」と返事をした。肩書を知ったのはごく最近のことだ。

――結果的に2人の代表取締役がいる体制になりましたが、瀬戸社長のお仕事とどう分担しますか。

松本氏: ボディーメークなどの「RIZAP関連事業」は瀬戸社長が担当する。新規事業、M&A、海外事業などは私が進める方向で考えている。瀬戸社長には、私の持っている良い所をたくさん使ってほしい。RIZAPグループには、1兆円企業、10兆円企業とどんどん成長してほしい。

事故なく猛スピードで成長させる

――RIZAPは過去最高の営業利益(5期連続増益)と売上高(6期連続増収)を達成するなど好調です。今後はどう伸ばしていきたいですか。

松本氏: 現時点では、私はまだカルビーの社員。いまお話できるのは、RIZAPをさらに早いスピードで伸ばしたいということだけだ。だが、成長スピードを上げるとリスクも伴う。自動車が時速40キロで走っても事故は起きにくいが、時速180キロで走ると事故の危険性は高まる。それと同じだ。

 RIZAPは相当なスピードで成長したいと考えているはずで、リスクはある。クラッシュしては意味がないので、できるだけ助けたい。

photo 松本会長はカルビーで「フルグラ」を人気商品に育てた実績を持つ

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