ハリル解任は吉か凶か 西野ジャパンが盛り上がらない赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2018年06月07日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

待ち受けているのは壮絶な批判の嵐

 中島翔哉(ポルティモネンセ)や堂安律(FCフローニンゲン)、バルセロナ復帰までウワサされている久保建英(FC東京)らは海外でも高く評価されている。将来を嘱望されている若者たちがことごとく西野ジャパンのW杯最終メンバーにかすりもしなかった現状を考えると、確かに「オッサンばかり選んで勝てなかったら、この先の日本サッカーはどうなるのか」と不安ばかりが募ってしまう。

 23歳の中島はもちろん、まだ10代後半でも才能に満ち溢れ、大器の片鱗をのぞかせる堂安や久保を抜てきして経験を積ませるほうが、日本代表の将来にとってはプラスに作用するのではないか。

 しかも、その「ロートルジャパン」と評される西野監督体制下の日本代表初陣となった5月30日の親善試合・ガーナ戦では、呼び戻されたキーパーソンの本田を筆頭にベテラン勢がまるで緊張感のない低パフォーマンスに終始し、惨敗した。これでは誰もが不安を募らせるのは当たり前で、「まだハリル体制のほうがよかったのではないか」との意見が数多く飛び交うのもうなずける。

 起爆剤として呼び戻した目玉の本田が今のところチームにフィットしておらず、しかもハリル解任の首謀者としての疑念がいまだ生じたままなのだから素直に応援できない人が多いのも致し方ない流れではある。

 今度のW杯で日本代表はコロンビア、セネガル、ポーランドとともにグループHに組み込まれている。世界各国の主要メディアからは総じて「比較すれば、組し易いグループ」とも評されているが、今の日本代表にとっては組し易いどころか全敗する可能性のほうが高いと言わざるを得ない。

 心配なのはW杯後である。ベテラン勢を寄せ集めた末に結果はもちろんのこと内容でもロクにインパクトを残せず惨敗して大会を終えれば、待ち受けているのは壮絶な批判の嵐だ。ここで明日の日本サッカー界を担う若手がベテランの代わりに1人でも多く加入していれば、大舞台で積んだ経験は必ず糧となって後々に生かされる。

 そういう期待感が少しでも垣間見えれば、たとえ惨敗したとしても悔しさはだいぶ解消されるだろう。だが、この大会で「ロートル」「オッサン」などと称されているベテラン勢は惨敗しても代表から今後は身を引いていくだけで何も残すものがない。

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