太平洋戦争が始まった1941年。国は「出生数を5人」とする「人口政策確立要綱」を閣議決定。さらに同じころ、「おいおい、マジかよ〜〜」とあぜんとする、「結婚十訓」なるものを提示しました。
【結婚十訓】
……すごい訓示です。
でも、これって……、過去の話であって過去でない。はい、そうです。似たような政策が現代の日本でも掲げられています。2013年に設置された「少子化危機突破タスクフォース」です。
初代議長は森雅子・少子化担当相(当時)。批判が殺到した「女性手帳」、若年層の恋愛調査の実施、婚活イベントへの財政支出、若年の新婚世帯の住宅支援など、「さっさと女性は結婚し、子どもを産み、仕事もしなさい! そのためには、婚活もサポートをしますよ」という政策を次々と展開しました。
いわば、「結婚十訓」の現代版です。
かつて総スカンされた柳沢伯夫・厚労相(当時)の「女性は子どもを産む機械」発言も、瞬く間に炎上した自民党・山東昭子参議院議員の「4人以上産んだら表彰」発言も、そして、加藤氏の「3人産んで」発言も全て「結婚十訓」。戦時中の「お国のために」というプロパガンダが息づいているのです。
時代は変わり、家族のカタチも、働くカタチも、全て戦時中とは全く違うのに、当時の「理想」を追いかけているだけで、それを可能にする環境を整備しない社会。誰も、「お国のため」なんて考えている人はいないのに、あたかもそういう人がいるかのような幻想がまん延している社会。
そういったいくつもの「妄想と現実のギャップ」が、さまざまな問題を引き起こしているのです。
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)
【注:会社や上司に不満のない人には、全く役に立たない本です】
600万の黒字より、5億の赤字の方が評価されるんです――。瀕死の部署を再生させた後、左遷されたモリさん(仮)は、苦笑しながらこう語った。
上層部の意図に沿わない成功は全く評価されず、上層部の方針に従って出した大赤字は「ナイスチャレンジ」と見なされる。会社という組織では、そんな「残念」なことが毎日起きている。
どこの組織にでも起こる問題について、幾多もの理論や学術論文、600人以上のインタビューから、改善の具体策を導き出す。「あいさつ運動」や「17時退社を当たり前にした仕組み」によって、業績まで伸びた事例も紹介する。
「この会社、意味不明」と嘆くビジネスパーソンに向けて。希望のヒントが見つかる1冊!
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