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» 2018年06月13日 09時00分 公開

連載 熱きシニアたちの「転機」:56歳で早期退職 元大手ITエンジニアが「介護タクシー」続けるワケ (1/5)

定年後を見据えて「攻めの50代」をどう生きるのか。新天地を求めてキャリアチェンジした「熱きシニアたち」の転機(ターニングポイント)に迫る。第1回目は「介護タクシー」会社を起業した元大手ITエンジニアの荒木正人さん(70)。

[猪瀬聖,ITmedia]

連載:熱きシニアたちの「転機」

「定年後」をどう生きるのか――。

「人生100年時代」が到来する中、定年直前になってからリタイア準備を始めるのでは遅い。生涯現役を貫くために、定年後を見据えて「攻めの50代」をいかに過ごすか。新天地を求めてキャリアチェンジした「熱きシニアたち」の転機(ターニングポイント)に迫る。


 ♪タラランランランランラン♪ スマホの着信音が鳴ると、荒木正人さんは「すみません」と断って取材を中座した。電話の相手にあいさつしながら、体をひねってカバンの中からノートサイズの手帳を取り出し、スケジュールの空きを確認。「はい、大丈夫です、いつもありがとうございます」と丁寧にお礼を述べ、最後にもう一度、時間を復唱して電話を切った。「いつ電話がかかってきてもとれるようスマホは手放せません。トイレにも風呂にも持っていきます」。姿勢を戻しながら、荒木さんは自嘲気味にこう語った。

 戦後間もない1948年生まれ、2018年で70歳になる荒木さんは、東京の世田谷区や杉並区を中心に介護タクシー・サービスを展開する「サン・ゴールドケアブレーン株式会社」の代表取締役だ。白黒のシンプルなデザインの名刺には、「あなたのお出かけ、笑顔でサポート サン・ゴールド介護タクシー」と書いてある。

 介護タクシーとは、身体障がい者や介護の必要な高齢者が通院したり外出したりする際に利用するタクシーの通称。車いす用リフトや回転シートが装備されている車両が多い。介護保険が使える「介護保険タクシー」と、それ以外の「福祉タクシー」の2タイプあり、サン・ゴールドは後者に属する。

phot 介護タクシーは薄利なビジネスモデルであるために、数をこなして稼ぐしかない(写真は荒木正人さん提供)

出世コースから外れて「第2の人生」を模索

 会社といっても、社員は実質、荒木さんを含めて3人。全員運転手だ。他に、奥さんが時々ボランティアで経理を手伝ってくれ、Webサイトの管理などPC関係は、何かあればIT業界で働く息子さんが助けてくれる。「私がSE(システムエンジニア)として働いていたころとは時代が違いますから、私の知識なんて何の役にも立ちませんよ」と笑う。

 そう、荒木さんはかつて、大手IT企業のSEだったのだ。仕事は面白かった。管理職にもなった。だが、文系出身だったため理系出身のSEにはどうしてもかなわず、出世コースからも外れていった。先が見え始め、第2の人生を真剣に考えるようになった。

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