仮想通貨が新たなシノギに 溝口敦が斬る「3つの山口組」ビットコインで「おくりびと」も出現(4/5 ページ)

» 2018年06月13日 08時00分 公開
[溝口敦ITmedia]

「カネがなくても続けられる」組織目指す任侠

phot 「任侠山口組」代表の織田絆誠(写真は講談社から発刊した『山口組三国志 織田絆誠という男』より)

 こうした月会費だけを見ても、任侠が低額なのは自明だが、その上に過去の資金蓄積の差、組織についている社長やダンベエの差がある。ひとことでいえば、六代目山口組は金持ちで、任侠は貧しい。あえて任侠の優位点を挙げれば、他の2派より若手が多く、リーダー層で比べれば、20歳は年齢差があることである。10年後を考えれば、六代目、神戸とも80代、任侠はようやく60代だから、将来的に任侠の余命が長くなるのは自明だろう。

 任侠は「カネがなくてもヤクザを続けられる」組織を目指し、上が下からのカネで食うことを否定している。織田絆誠は代表であって、他派のように組長ではない。親子盃をせず、組織は横並びを基本とする。経費節減のため、他団体との交際はやりたい者が行い、団体としては交際しない。また半グレ集団が行っているオレオレ詐欺などに対しては、「年寄りをだます行為は男として胸を張れるシノギか」と問い、半グレたちを善導しようとしている。

 暴力団が抱える経済苦境を打開する方法の1つとして、半グレの活用があるわけだが、任侠は善導するつもりぐらいだから、金もうけのツールとして半グレを考えていない。ただ半グレたちの人気は高く、「ゲソをつけたい」(入りたい)と訪ねる若者は多いと聞く。任侠はその多くを組員としてではなく、半グレのまま別組織で受け入れる。法律的に暴力団は不利益の固まりなのに対し、半グレはほぼ一般人と同じに扱われる。半グレがその優位さをわざわざ捨て去ることはないとの考えからという。

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