「5」への強いこだわりで急成長 ゴーゴーカレーの巧妙な戦略長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)

» 2018年06月19日 06時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

ステンレス製の皿に盛ってフォークで食べる理由

 71年にカレーライスのタナカは、地元金融機関に勤めていた岡田隆氏との共同経営に移行し、「ターバンカレー」に改称。元からあった高岡町店は程なく工場となり、新店の片町店(いずれも金沢市)で営業するようになった。2005年に片町のターバンカレー本店は金沢市役所と香林坊交差点の間にある広坂に移転している。

 ターバンカレーから派生して、東京の新宿で創業したのがゴーゴーカレーということになる。

 そして、共同経営はうまくいかず、73年に田中氏が新しく郊外の石川県野々市市で立ち上げたのが「タナカのターバン」。分裂の際に田中氏はレシピを大きく変更したという。96年にこの店は、「ターバンカレー」が商標登録された影響で、カレーのチャンピオンに改称して現在に至っている。

 この際に、赤と黄色を全面的に打ち出す主張の強い店舗改装を行った。これは妻の博子氏が傾倒していた風水を参考にしたものだ。

 赤と黄色のインパクトある色彩は、ゴーゴーカレーにも採用されている。つまり、洋食タナカのレシピを継承している店が、金沢カレーの本線ということになるだろう。

 金沢カレーがステンレスの皿に盛られるのは、一般の飲食店よりも慌ただしくなるので、割れにくく丈夫な食器が必要とされたからだ。カレーのチャンピオン本店ではピークタイムの提供時間は注文が入ってから3〜5分、顧客の滞在時間は15〜20分とのことだ。

 また、スプーンではなくてフォークで提供するのは、かつて硬かったトンカツの豚肉を刺すためだ。また、カレーの粘度も高かったので、フォークで食べても支障がなかった。現在、豚肉の肉質は軟らかいものに改善されているが、かつての名残として定着したフォークを使っている。

 また、カレーの上にカツを載せ、ソースをかけてキャベツを添えるスタイルは、トンカツ定食とカレーライスを合わせたもので、カレーのチャンピオンの前身が洋食屋だったからこその発想であった。

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