「ウナギ以外を食べよう」と顧客にアピールする同社だが、今年もウナギのかば焼きは販売する。藤巻氏は記者から「矛盾しているのではないか?」と指摘されると「ウナギを食べたいというお客さまのニーズにも応える必要がある」と回答。宅配事業者としては、異なる顧客ニーズを同時に満たさないといけない苦しい立場にあるとの見解を示した。
一方、藤巻氏は「ウナギのかば焼きは利益率が高くない」とウナギのかば焼きを販売し続けることがビジネスの面でも難しくなりつつあると説明する。今年の土用の丑の日にあわせ、「愛知 三河一色産うなぎ蒲焼き」(110グラムで3186円)を販売するが、価格は1年前と比べて1000円以上高くなっているという。量販店との競争もあり、これ以上値上げするのは難しい状況だ。
もう1つ、同社がウナギの保護を訴えなければいけない背景にあるのは、「減っている魚は食べないようにしよう」「持続可能な漁業で穫れた魚を食べよう」という国際的な潮流だ。
FAO(国際連合食糧農業機関)によると、過剰漁獲(獲り過ぎ)の状態にあり、生物学的に持続可能でない資源の割合は、1974〜2011年にかけて拡大し続けている。11年には「過剰漁獲の状態の資源」と「漁獲拡大の余地のない資源」が全体の9割を占めるまでになった。先進国で魚がヘルシーな食べ物として人気が高まったり、新興国の所得水準が向上したりするにしたがい、世界的に魚の需要は高まっているが、これ以上魚を獲り続けると、海から魚がいなくなってしまうというのだ。
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