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» 2018年06月25日 07時00分 公開

社会課題解決企業で働く福岡娘の奮闘記:福岡から出てきた私が入社3カ月で店舗運営を任された話 (4/5)

[尾方里優,ITmedia]

1杯しか飲まないお客さんも大切にする

 こういった議論を重ねながら、1カ月間で2000人のお客さんにどうやって利用してもらえるか考えました。

 上述したように、浜松町の店は50人くらいで満席になる大きさです。ただ、4人掛けの席に3人が座ることもあります、1日で100人のお客さんに利用してもらうには、ざっと考えて1つの席に対して、2時間程度楽しんでいただけるお客さんが3組必要です。

1カ月間で2000人のお客さんを集めるためアイデアを出し合った

 このとき浜松町 和の家は、深夜営業をなくす取り組みの実験店でもありました。そのため営業時間は、お客さんが終電で帰ることができる時間まで(だいたい午前0時〜1時前)。そうすると、午後4時〜6時、6時〜8時、8時〜10時、10時〜午前0時といった時間帯でお客さんに入ってもらえるのが理想です。

 今まではお客さんが入り始めるのがだいたい午後5時くらいからで、6時〜10時ごろがピークタイムでした。社長からは、スタッフが着いた瞬間から店はオープンだと言われたため、午後1時過ぎにはお客さんを案内する役のメンバーが外に立って活動することに決めました。

 このように早い時間帯から利用していただけるような工夫や、2〜3時間で満足してもらえるような場作りなどについても知恵を出し合いました。2時間ほどでお客さんに帰っていただくのは、自分たち都合であるようにも感じましたが、宴会コースなどのニーズに応えていくことで、時間の効率的な使い方を考えるようにしました。

 また、浜松町はビジネス街なので、土日にお客さんが少ない傾向があります。そこでイベントを企画したり、忘年会や誕生日会、結婚式の二次会といったイベントごとの利用で使ってもらったりするようにアピールしました。テイクアウトをOKにする取り組みも実施してみました。

 目標を売り上げではなく来客数にしたことで、私たちの意識や行動も変わりました。たとえ1杯しか飲まないというお客さんであっても、一生懸命ご案内するようになったのです。

 もし客単価を上げることを目標にしている店であれば、1杯だけのお客さんを案内してしまうと、大した売り上げにもならず、客単価も下がるため、スタッフはあまり良い気持ちで案内しないこともあるでしょう。しかし私たちが追いかけたのは来客数なので、1人でも多くのお客さんに店のことを知ってもらい、利用していただくことが大切でした。「お客さんを断る」ということを可能な限りなくすべく、店の外に椅子を出して、待っている間もお酒を飲んでもらえるようにもしました。

 そして、1杯だけしか飲まないお客さんに対しても、私の考えや店のことなど、さまざまなことをお伝えしました。

 私が浜松町を任されたときは、今みたいに漁業も始まっていません。これと言って特徴がない居酒屋でした。そこで何を売りにできるかを考えました。ビールは昔からこだわっていて、メーカーからビール講習も受けていたので、「おすすめは?」と聞かれて、「生ビールです!」と答えていました。お客さんに笑われても真剣に良さを伝えました。それ以外にも、唐揚げがおいしいと思ったら唐揚げを推したり、飲み会の締めのラーメンを探して店の前を歩いていたお客さんに味噌ラーメンを勧めたりしました。

 すると、1杯だけ飲んで帰っていたお客さんが再びお店に来てくれて、今度はたくさん注文してくれたお客さんも1人や2人ではありません。売り上げや客単価を意識していては、なかなかできなかった行動だと思います。来客数を追う意味を実感した瞬間でもありました。

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