モンテローザに「パクリ疑惑」がかけられてしまう理由スピン経済の歩き方(2/5 ページ)

» 2018年06月26日 07時40分 公開
[窪田順生ITmedia]

続発している「パクリ騒動」

 最近話題になったところでいえば、愛知エリアからいまや全国規模の人気になりつつある「珈琲所コメダ珈琲店」が、和歌山の人気喫茶店「マサキ珈琲」に対して、メニューや店舗の外観が酷似していると言い出したトラブルだ。店舗使用の差し止めを命じる仮処分が出たが、その後に両者は和解した。

 また、「298円均一」で人気を広げて、東証一部上場した「鳥貴族」も、ロゴやメニューがよく似た「鳥二郎」に対して、ロゴの使用禁止や損害賠償を求めたが、後に和解している。

 このような争いは実はモンテローザも過去に経験している。「和民」のワタミフードサービスや「月の雫」の三光マーケティングフーズと法廷闘争を繰り広げたが、やはり結果は和解となっているのだ。

 つまり、外食産業にとって「パクリ」を巡る争いというのは、激しい罵り合いをしながらも結局はドローに陥る、という「労多くて益少なし」なのだ。

 取材に応じて、「パクリ疑惑」について言及するということは、その不毛な戦いの引き金を引いてしまう恐れがある。企業防衛の観点からすれば「取材お断り」になるのも当然かもしれない。

 このような話を聞くと、おそらく新たな疑問が浮かぶことだろう。それは、なぜ外食ビジネスには「パクリ疑惑」が多いのかということだ。

 「ネトウヨ」のみなさんの世界観では、「パクリ」とは中国や韓国のお家芸であって、誇り高い日本人は決して手を染めないとされる。だが、現実に目を向けると、モンテローザに限らず、日本のありとあらゆる外食産業に「パクリ疑惑」が持ち上がっているのだ。

 例えば、17年11月には「すかいらーく」が展開する「からよし」「から好し」が、唐揚げ専門店「からやま」などを運営するアークランドサービスホールディングスから営業表示差止等請求訴訟を提起されたし、人気居酒屋「磯丸水産」の姉妹店「磯丸すし」も「や台ずし」から看板などの外観が似ているとして提起されている。

 なぜこうなってしまうのか。「そりゃ日本の外食が在日人脈に支配されたからだ」と主張される方もいるかもしれないが、筆者の考えは違う。

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