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» 2018年07月04日 10時00分 公開

富士通マーケティングの働き方改革:富士通マーケティングがRPAの全社導入に乗り出した理由

企業の生産性アップに寄与することが期待されるRPA。しかしこのメリットを十分に引き出すには、あらかじめRPAの運用や管理を全社レベルで統括するためのルールや体制作りが欠かせない。この点を考慮し、全社を挙げてRPA導入・運用のルールや体制作りを着々と進めているのが富士通マーケティングだ。

[PR/ITmedia]
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 現在、多くの企業が抱える「人手不足」「業務効率の改善」「コスト削減」といった経営課題を解決してくれるITソリューションとして、大きな期待を集めている「RPA(Robotics Process Automation)」。人間がコンピュータ上で行う操作を、ソフトウェアロボットに代行させることで、業務の自動化・効率化を図ろうというものだ。

 2017年に一気に注目を集め、現在はさながら「RPAブーム」とも呼べるような状況だが、その一方でいち早くRPAを導入してみたものの、思ったような効果が得られないケースも少なくないという。業務効率の改善やコスト削減を目的にRPAを導入したものの、「期待したほど効率化できなかった」「逆に業務効率が下がってしまった」「当初想定していたコスト削減効果を得られなかった」という結果に終わったものもあるだろう。

 導入失敗の理由は企業によってさまざまだろうが、RPAのメリットが逆に仇になってしまったケースも多く見られる。RPAは大掛かりなICTソリューションと比べ、比較的安価に導入でき、かつICTの専門家でなくとも手軽に導入・運用できるのがメリットだとされる。そのため、安価なPCソフトを購入する感覚で、業務現場の裁量でRPAを導入したものの、いざ活用しようとした途端に壁にぶつかってしまうケースが多い。

 実はRPAのメリットを十分に引き出すには、あらかじめRPAの運用や管理を全社レベルで統括するためのルールや体制作りが欠かせない。これを怠り、現場の判断だけでRPAを回そうとすると、思わぬ落とし穴にはまる可能性が高いのだ。

 この点をあらかじめ考慮し、現在全社を挙げてRPA導入・運用のルールや体制作りを着々と進めているのが、ICTソリューションベンダーとして全国に多くの顧客を持つ富士通マーケティングだ。同社におけるRPAの取り組みについて、同社 CIT推進本部 システム企画・計画統括部長 兼 システム企画部長の池田優仁氏は次のように述べる。

 「現在当社では、『働き方改革』のための業務改善活動を各部門で行っていますが、そのための具体的な手段としてRPAの導入・活用をトップダウンで進めています。加えて、社内での実践を通じてRPAに関するノウハウを蓄積し、それをお客さま向けのサービスやソリューションに反映させたいという狙いもあります。現時点では、まず社内で手を挙げた部門から先行してRPAの導入を適宜進めているところです」

全社レベルのRPA管理体制を築き上げた富士通マーケティング

 当初は、部門ごとに独自の判断でRPAを導入・運用する予定だったという。事実、一部の先行する部門では独自にRPAの導入作業を進め、かなりの段階まで進んでいた。しかし、社内の情報システム環境を統括する立場にあった同社 CIT推進本部では、こうした状況に早い段階から危機感を抱いていたという。

 「システム入力などの事務作業を統括するビジネスサポート本部がRPA導入に先行して取り組んでいましたが、その後人事部や財務部、マーケティング部門などが次々と手を挙げ、それぞれ独自にRPA導入に乗り出そうとしていました。このままでは、各部門のRPA導入がばらばらに走ってしまい、管理の目が行き届かない“野良ロボット”が生まれたり、各部門で二重投資の発生による無駄が生じる恐れがありました」(池田氏)

富士通マーケティングにおけるRPA導入の管理体制 富士通マーケティングにおけるRPA導入の管理体制

 そこでCIT推進本部は、RPA導入・運用におけるガバナンスの重要性を上層部に説き、自らが社内でRPA導入・運用プロジェクトの事務局としての役割を担うことを申し出た。もともとRPA導入による経営品質向上に期待していたトップはこの上申を了承し、同社ではRPAの本格導入を前に、CIT推進本部を中心とした全社レベルの管理体制を構築することとなった。

 まずは、RPAの導入を希望する各部門から申請書ベースで、RPA導入の目的や用途、対象となる業務やシステムなどについてヒアリングを行った。そしてその内容を基に、社内の各部門と連携しながらRPAの適切な導入・運用方法について協議し、社内ルールを定めた導入ガイドラインを整備していくことにした。

 こうした取り組みを進めるに当たっては、導入部門とCIT推進本部以外の関係各部門とも密接に連携しながら、導入・運用を進めていく体制を構築した。例えば、RPAのシナリオ開発をはじめとする実装作業に関しては、お客さま向けにICTサービスを提供しているシステム本部の協力を仰いだ。このような社内の協業体制を築き上げた背景について、同社 CIT推進本部 システム企画部 担当課長の内橋一氏は次のように説明する。

 「現在社内で進めているRPA導入の取り組みを通じて得たノウハウは、近い将来、お客さま向けのソリューションに生かしていきたいと考えています。そのためには、普段お客さまに対してサービスを提供している部門に入ってもらって、社内実践を通じて技術ノウハウを吸収してもらうのが得策だと考えました。現在システム本部の技術者が、業務部門の担当者と協力しながら、RPAのシナリオ設計や実装に取り組んでいますが、こうした活動を通じて業務部門の担当者のRPAスキルを育成するとともに、システム本部の技術者もプロジェクトの実践を通じて生きたノウハウの吸収に努めています」

RPA導入・運用に欠かせない「内部統制」の観点

 もう1つ、同社のRPA導入・運用を進める上で重要な役割を果たしているのが、社内の内部統制を統括する「内部統制室」だ。同社 CIT推進本部 プロジェクトエキスパートの河崎恭一郎氏は、RPA導入・運用における内部統制の重要性について次のように述べる。

 「財務処理やJ-SOX法などと関係がある業務にRPAを適用する場合には、業務プロセスの変更がそのまま内部統制リスクに直結する恐れがあります。そのため、そうした業務にRPAを適用する際は事前に必ず内部統制室に相談するようルールを定めました。また、RPAは人間に代わって業務システムにログインすることも考えられますから、ID管理の観点からも内部統制のルールに従った運用が求められます」

 加えて、RPAを導入したPCを適切に管理する安全管理措置を講じる上でも、内部統制の観点が欠かせない。こうした課題点をあらかじめ内部統制室に相談し、すべてクリアした上で導入を進めるよう、社内でルールを定めているという。

 こうして、RPAを自部門に導入する業務部門、技術面をサポートするシステム本部、内部統制の観点からアドバイスを行う内部統制室、そして事務局として全社横断でRPA導入・運用の取りまとめを行うCIT推進室の各部門が適宜連携しながら、現場の自由度を損なわず、かつ全社的なガバナンスも適切に維持したRPA導入・運用のための体制やルール作りを、現在急ピッチで行うとともに、実際にRPAソフトウェアを実装する際の開発手順の標準化や、導入するツールの標準化などの作業も並行して進めている。

 「デスクトップ型のRPA製品は比較的安価で導入しやすいのがメリットですが、複数のロボットを一括管理できないという弱点があります。一方、ロボットを集中管理できるRPA製品のほとんどが大規模な企業向けの高価な製品で、当社が主にお付き合いしている中堅・中小企業に提案するにはあまり適していません。こうした点を考慮しつつ、社内の関係部門と協議を重ねながら当社ビジネス市場に合わせて社内利用に最適な製品を選定していく予定です」(内橋氏)

CIT推進本部の池田優仁氏(左)、内橋一氏(中央)、河崎恭一郎氏 CIT推進本部の池田優仁氏(左)、内橋一氏(中央)、河崎恭一郎氏

中堅・中小企業でも導入可能な「コストを抑えたRPA」を目指す

 同社では数多くの中堅・中小企業の顧客を抱えていることもあり、極力コストを抑えたRPAの導入・運用を心掛けていきたいと池田氏は話す。

 「多くの中堅・中小企業のお客様は、情報システム導入に多くの予算を割けないため、私たち自身がコストを抑えたRPA導入・運用の方法を研究・実践し、その成果をお客さま向けのサービスに反映させていきたいと考えています。そのために今後は、なるべく少ないITリソースで効率的にソフトウェアロボットを稼働させる方法を模索していくつもりです。例えば、ロボット1体につきPC1台を用意しなくてはいけないような製品より、PCやサーバのリソースを複数のロボットで共有できるような製品の方が、よりコストを抑えることができるでしょう」(池田氏)

 同氏いわく、RPA製品は他のICT製品より比較的安価で、導入ハードルが低いため、放っておくと各部門の判断でばらばらに購入され、投資の無駄が生じる可能性が高いという。そのため今後は、ソフトウェアライセンスの購入もCIT推進室が全社で一括して行う体制を整えていくという。

 もちろん、CIT推進室自身も、RPAを使った業務効率化に積極的に取り組んでいる。特に、深夜や休日に人手による作業が発生することもあるシステム監視作業には、RPAを適用する価値が高いと河崎氏は述べる。

 「サーバ監視作業の多くは既に自動化されていますが、中にはまだ管理者がサーバに1台1台ログインして、情報を取得しなければいけない作業も残っています。こうした手作業を自動化するためにRPAを適用し、現在適宜運用を始めているところです。ゆくゆくはRPAも介在しない完全自動化を目指したいと考えていますが、そこに至るまでの暫定措置としてRPAは極めて適していると感じています」

 なお現在、同社におけるRPA導入の取り組みは本社の各部門で進められているが、同社は全国に数多くの拠点を構えており、今後はこうした地方拠点に対しても積極的にRPAを適用していきたいとしている。

 「本社で現在進めているRPA導入プロジェクトは、今年度中には一通り本稼働まで持っていく予定です。その後は、本社と同様に多くの非効率な手作業が残っている地方拠点の業務にもRPAを展開していくことができればと考えています。もちろん社内展開だけでなく、社内での実践を通じて得られたノウハウを生かしたお客さま向けサービスも近く提供開始する予定です。そのためにもまずは、社内でのRPA活用のためのしっかりとしたフレームワーク作りに注力したいと考えています」(池田氏)

 次回からは、富士通マーケティングの各ビジネス部門によるRPAの具体的な導入・活用ケースについて紹介していく。

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提供:株式会社富士通マーケティング
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2018年8月3日