<メンター制とネットワーク>
バークレイズが導入し、前出のカラニさんが協力している「ソフォモア・スプリングボード(2年生の跳躍)」プログラムは、トレーディング担当の女性を増やそうと最近始められた取り組みの一例だ。
シティグループでは、女性をターゲットにした大学生の採用活動を行い、面接の特訓も行っている。JPモルガン・チェース
「アナリストに女性の採用を増やすことについて、われわれは改善している」と、JPモルガンで通貨や新興市場の共同責任者を務め、同プログラムの推進役でもあるクラウディア・ジュリー氏は言う。JPモルガンでは2016年以降、同プログラムを通じ30人程度の女性を採用したという。
ゴールドマン・サックス・グループ
ゴールドマン・サックスは、いずれ従業員全体の半数を女性にしたいとしているが、現状はその目標からは程遠いことを認めている。
「トレーディングの観点から、女性の採用は特にこれまで不足していた」と、ゴールドマン・サックスで欧州や中東、アフリカでの新卒採用を担当するジャニン・グラセンバーグ氏は言う。
金融各社は女性比率を増やそうと力を入れている。ある銀行などは、若い女性トレーダーを登場させれば競合相手に引き抜かれる恐れがあるとして、インタビューの申し込みを断ったほどだ。
株主からの圧力を別にしても、マネジャーや一部の研究は、女性を増やすことはビジネス面でも合理的だと指摘する。
ロンドンを拠点とするスタートアップ企業トレーディングハブのデービッド・ヘスキース最高経営責任者(CEO)によると、同社が採用活動の一環で2014年と2015年に数百人のインターンを対象に実施したトレーディングのシミュレーションでは、女性の方が売買の回数が少なく、取るリスクも少なかった。だが女性は、ルールに違反する回数も男性の半分以下だったという。
総合的にみて、チームに女性が多い方が、仲介手数料や損失引当金、罰金などの面でコストを節約できる可能性が示されたという。
「一部の社が、数億ドル単位の罰金を支払っていることを考えれば、すごいことだ」と、へスキース氏は言う。
Copyright © Thomson Reuters
Special
PR注目記事ランキング