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「女性トレーダー求む」、金融業の男社会は変わるか「男子クラブ」(3/3 ページ)

» 2018年06月28日 16時18分 公開
[ロイター]
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<男子クラブ>

だが、ロイターの取材に応じた元トレーダーの女性たちは、業界について、ほんの10年前まで一般的だった差別的な態度からは脱却したものの、今でも女性が圧倒的に少なく、「男子クラブ」に放り込まれた部外者のように感じることもあると証言した。

2006年から2009年にかけ、ロンドンでモルガン・スタンレーの株式トレーダーとして働いたシミー・グローバーさんは、ほんの10数年前に投資銀行に就職しようとした際、彼女がトレーディング・フロアにいる図を採用担当者は想像できないようだったと振り返る。

「面接を受けに言ったら、なぜトレーダー職を希望するのかと聞かれた。女性は営業職を受けるべきだというのだ」

現在は英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)で研究者をしているグローバーさんは、当時は結局、別の企業でトレーダー職についたと話す。職場で軽視されたと感じることはなかったものの、仲介業者が企画するサッカー観戦やパブでの飲み会などの交流イベントでは忘れられることがあったと言う。

2009─2014年にシティのクオンツアナリストとして働いたディブヤ・クリシュナンさんは、会社は当時すでに、ネットワーク構築の機会や、経験豊富な女性トレーダーへの紹介など、若い女性社員の支援に取り組んでいたと話す。

会社側は、自信を持ち、女性にありがちなケースとして、謝罪しすぎないようにするよう女性社員にアドバイスしていたと、クリシュナンさんは振り返る。

だがグローバーさんと同様に、終業後、同僚に溶け込むのは難しいと感じていた。

「私はスポーツファンではないが、話題はいつもスポーツだった。勉強しないといけなかった」と、今は新興フィンテック企業に勤めるクリシュナンさんは言う。

職場文化の変化は遅いものの、金融機関は、数学が得意だったり、金融関連の学位がなければトレーディングで成功できないという誤解をといて採用候補者のすそ野を広げようと、大学向けの採用活動を強化している。

「リベラルアーツを専攻した女性にも、われわれの業界を検討するよう強く訴えている」と、シティグループのマネジング・ディレクターのアマンダ・マグリアロ氏は話す。

大学では日本語を専攻し、MBA(経営学修士)を持つマグリアロ氏は、インターンに参加する女性に面接の特訓を行うなどの取り組みが成果を上げ、「数字が改善した」と話す。

だがヘッドハンターは、各社の取り組みの成果が従業員の男女比率に表れるまでには時間がかかると指摘する。

「各社は、トレーディングなどを担当する女性を増やしたがっているが、希望者や候補者の女性はそれほど多くない」と、採用会社プロコ・コモディティーズのロス・グレゴリー氏は指摘した。

(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)

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