スノーピークのこのようなワークスタイルは、入社したばかりの社員にとって戸惑いはないのか。
「基本的にスノーピークの社員は皆キャンパー(キャンプをする人)だというのがベースにあります。それが階層に関係なく円滑なコミュニケーションがとれるというフランクな社風を作り出しているように思えます」(青柳氏)
社員の歓迎会や親睦会、あるいは新卒社員の内定式なども、大抵はキャンプを行うのだという。共通の趣味など見つけなくても、一緒にキャンプに行けば分かり合える。その延長線上にオフィスでの仕事があるようだ。
キャンプをすれば人間性が見えると青柳氏。今後は採用にも取り入れていく予定である。
「今年から外部サービスを止めて自社のWebページだけに採用情報を掲載するようになりました。来年から選考にキャンプやバーベキューを取り入れようと思っています。キャンプをするとサボる人が出てくるなど、面接では見えない部分が浮き彫りになります」
キャンプをしないと仕事にならない。なぜならキャンプ用品を扱うビジネスをしているからだ。それがスノーピークで働く上で何よりも大切なことだという。
同社でやってはいけないことの1つに「他責化」がある。
例えば、店舗の販売員が「今日は雨が降って来客数が少なかったので、売り上げが未達成でした」と言ったとする。これは悪天候が原因で店の売り上げが悪かったということだ。しかし、スノーピークでは許されない。天気が悪くてもお客が来る仕組みを作っていれば問題なかったからだ。
「当社では顧客にアポを取って来店を確約することもあります。雨が降ったときこそ、顧客に連絡すべきなのです。その結果、最近来てなかった10人に連絡したところ、10人ともアポイントを取れなかったが、翌週のアポはいただけた。こういう報告なら問題ないのです。そうした行動がスノーピークでは求められるのです」(青柳氏)
こうした考えの根底にあるのは、キャンパーだからである。風が吹いてテントが倒れたら、風のせいにしても何も起きない。テント倒れる前に何とかしろという話になる。「ビジネスもアウトドアも状況は刻一刻と変わるのです。臨機応変に対応して自分ができることを考えるべきです」と青柳氏は力を込める。
やった上で失敗するのはいい。しかし、やらなかったことに対しては徹底的に追及する。それがキャンプのプロ集団であるスノーピーク流のビジネスなのだ。
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