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コンビニオーナー残酷物語 働き方改革のカギは「京都」にあり24時間営業は止められる(4/5 ページ)

» 2018年07月02日 08時30分 公開
[北健一ITmedia]

「24時間廃止実験」始めた京都のファミマ

 京都市内にあるファミリーマート立命館大学前店では1年前から、24時間営業をやめ、深夜1時から朝6時までの5時間、店を閉めている。「実験店舗」として、ファミリーマート本部の許可を得た。オーナーの長谷川淳一さん(58歳)が、メディアの取材に初めて実名で応じた。

phot 本部の許可を得て24時間営業をやめたファミリーマート立命館大学前店

 24時間営業だったころ、長谷川さんは午前1〜2時に店に入り夕方まで働く日が多く、睡眠不足から体調不良に陥った。思い切って本部に申請。理解を得て5時間店を閉めることになると、「交代のバイトが来ない」といった深夜の電話に悩まされることもなくなり、ほっとした。

 事前に周知を徹底し、お客さまからのクレームは全くなかった。観光地でもあり、大学のすぐ前にあり、昼間の半日で通常のファミリーマートの日販、約54万円は稼ぐ。そうした立地も、夜閉めるのに向いていた。

phot 午前1時〜午前6時まで店を閉めたにもかかわらず、純利益は8%増えた

 深夜閉めるため、閉店時間はもちろん、閉店モードに入る1時前から売り上げは減る。ただ、閉店前にその日の第1便の荷物が届くこともあり、開店直後も品薄ではない。「売り上げ減は1日3万円くらいでしょうか。仕入れ原価を引き、粗利を本部と分け合い、残りから時給1000円を超えるアルバイト代を払うと、売り上げ3万円では赤字です。だから夜閉めることで、最終的に残る純利益は8%ほど増えました」と長谷川さんは言う。

 同店が24時間をやめたことは『日経ビジネス』(17年10月30日号)が特集「コンビニ大試練」の中で報じた。店名、オーナー名は伏せられたが、長谷川さんのもとには他のオーナーから問い合わせがきた。「どうやったんという問い合わせはありましたが、うちもやると言わはった店はないですね、まだ」と長谷川さん。最近、300メートルほどのところに、セブン-イレブンがオープンした。もちろん24時間営業だが、今のところあまり影響はない。

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