短観、6月は製造業景況感2期連続悪化、貿易摩擦は影響うかがえず原材料高や円高不安か

» 2018年07月02日 14時12分 公開
[ロイター]
photo 7月2日、日銀が発表した6月全国企業短期経済観測調査(短観)よると、大企業・製造業の業況判断DI(良い─悪い)は前回比3ポイント低下し2四半期連続で景況感が悪化した。川崎市で2011年1月撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)

[東京 2日 ロイター] - 日銀が2日発表した6月全国企業短期経済観測調査(短観)よると、大企業・製造業の業況判断DI(良い─悪い)は前回比3ポイント低下し2四半期連続で景況感が悪化した。原材料高や円高不安などから減益幅拡大見通しも影響した可能性がある。貿易摩擦への懸念が強い割には先行き横ばいにとどまっており、設備投資計画も強い。それでも金融市場では今後の摩擦のリスクへの警戒感は強い。

大企業製造業のDIはプラス21、ロイターがまとめた民間調査機関の予測プラス22を下回った。素材業種に加え自動車の景況感悪化が目立つ。先行きはプラス21と横ばいにとどまっている。

日銀の調査統計局幹部によると、製造業の業況判断悪化の背景ついて、企業からは原材料価格の上昇や、それを販売価格に転嫁できていないことなどが指摘されている。

想定為替レートは2018年度通期で前回の1ドル109円台から今回107円台に円高方向への修正となっている。収益計画も製造業は全規模で売り上げは上方修正されながらも、6.6%の減益へ下方修正となっている。

他方で、大企業非製造業はプラス24、1ポイント上昇、4四半期ぶりに改善した。事前予想のプラス23を上回った。小売りの景況感が2桁悪化したほか、通信も大幅悪化したが、対個人サービスや宿泊・飲食サービスが大きく改善している。先行きはプラス21に悪化が見込まれている。

貿易摩擦については、日銀幹部によれば、先行き判断で指摘する声が若干あったものの、全体として「それほど多くはない」という。しかし、金融市場からは大企業製造業の先行きDIが横ばいとなったとはいえ、下ブレするリスクも指摘されている。

みずほ証券チーフマーケットエコノミスト・上野泰也氏は、貿易摩擦懸念について「思ったよりも反映されていない印象」としながらも、「トランプ米政権の保護主義策展開に伴う強い先行き不透明感は、海外での製商品需給判断を今後圧迫していくとみられる。売上・収益計画において先行きの下方修正含みと言わざるを得ない」と指摘する。

製造・非製造業を問わず高い伸びとなったのが設備投資。大企業・全産業の2018年度の設備投資計画は前年比13.6%増となった。民間調査機関の予測の同9.3%増を上回った。ようやく動き出した設備投資計画は、人手不足や世界的情報化の進展を反映して、設備投資の計画は製造・非製造業ともに過去の6月調査と比較しても高い伸びとなっている。

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